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民医連新聞

民医連新聞

新しい政治情勢を生かし 低医療費政策の転換へ 第37期 第3回評議員会ひらく

 全日本民医連は八月一八~一九日、東京で第三七期第三回評議員会を開き、評議員(予備含む)八一人ほか約七〇人が参加しました。 医療崩壊とのたたかい、「医師・看護師増やせ」の運動、参院選後の政治変化、後期高齢者医療制度「撤回」など今後の運動について四五人が発言。補強した方 針および半年間の中間決算報告、第三八期役員定数(副会長一〇人・事務局次長一四人・理事四七人)を全員一致で承認しました。詳細は『民医連資料(九月 号)』に掲載予定です。

危機激化、運動広がる

 地域医療(社会)崩壊とたたかいの発言が続きました。福岡・北九州市では餓死事件のあと社保協 などが生活保護行政の監視を強めています。奈良では周産期や救急医療の危機が争点になり、県議会勢力が変化。大阪では、月間で四三万のチラシを配布し一二 〇〇人の相談を受けました。四年連続の熱中症調査で対府交渉を予定しています。
 各地で医師・看護師不足、経営危機が激化。一方、北海道民医連の初期研修募集ポスターに地域の医師確保の立場で九人の首長が賛同。鹿児島では民医連シン ポ(三月)に参加した医師が地元でシンポを開くなど運動も広がっています。
 千葉では、診療縮小した病院が直接、患者宅に「他院を受診して」と紹介状を送りつける事態が。京都では北部の医師・看護師不足による病院機能の縮小が激 しく、市内から異動して副院長でがんばっている医師が「市内で救える命が北部では救えない」という深刻さです。

市町村に働きかけを

 山梨では資格書・短期証の調査を開始。飯塚評議員は「五年前に比べ滞納世帯が増え、制裁措置はそれ以上に増えた。五日間の短期証すらある。職員は『短期証も人権侵害』との認識で対応」とのべました。
 地震の被災者支援、トンネルじん肺、アスベスト、原爆症、水俣病、大気汚染など各裁判で果たしている民医連医師団の役割が、各地から報告されました。
 富山の大野評議員は、改悪介護保険による利用者・介護職員の困難にふれ「民医連の総合政策づくり」を提案しました。東京文京区では区立特養ホームの人手不足に起因する不祥事で民営化の動きが出ています。
 後期高齢者医療制度について、広域連合との懇談内容の報告がありました。青森では二〇項目の質問状を提出、回答の三割が「国の決定待ち」でした。長谷川 彰理事は「広域連合に意見が通らない。高い保険料や保険証の取りあげを止める市町村への働きかけが大切」と発言。相野谷安孝理事も「保険料平均月六二〇〇 円は政府の宣伝にすぎない。上限五〇万円という説もある。実際の金額を広域連合に聞き出し運動を強めよう」と呼びかけました。

民医連の役割大きい

 各地から医学生担当者の奮闘が報告され、山梨から「医ゼミが三〇〇人で成功」との速報がありました。
 看護師確保については、看護学校の教師と懇談(奈良)。復職セミナーの案内を道庁のホームぺージに掲載(北海道)。「対策室」を設け毎日打ち合わせ(石川)など、必死なとりくみが報告されました。
 経営再建中の法人から現状と決意がのべられました。川崎協同病院では一一年ぶりに黒字を計上。医局が学習会をすすめ「医療宣言」を完成しました。徳島も 情報の共有と相談で力を発揮「黒字体質の兆しが見えてきた」と報告。北海道も看護師の集中化や病床機能の変更による医療経営構造の転換の最中です。
 長野は上伊那生協病院(一二〇床)開設のために県連あげて支援。長野中央病院から支援に行った中堅看護師は「貢献できて嬉しい」との感想を寄せました。 大分のNST研究会や二四時間の電話相談、山口の医療連携や緩和ケア研究会などが、地域の医師に勇気を与えています。
 今後のたたかいについて、生田利夫理事は「在宅医療には療養病床は不可欠。撤退せず政策転換をせまろう」。江原理事は「歯科診療報酬を上げ患者負担減 を」の署名を呼びかけました。沖縄から「六つのヘリポート・都市型射撃訓練場反対、歴史歪曲を許さないなど同時多発的な運動を組んでいる。新しい情勢のも と新たな運動を」の呼びかけがありました。
 長瀬事務局長がまとめ、「民医連の役割が大きくなる。医療費自己負担を減らし診療報酬を上げよの要求を練り上げ、共同を広げたい」とのべました。また、 マイケル・ムーア監督の映画「シッコ(病気)」の上映運動、九月九日の平和一斉宣伝、『いつでも元気』増目標の達成を呼びかけました。

(民医連新聞 第1411号 2007年9月3日)