介護トピックス 裁縫「ちくちくクラブ」で利用者さんの元気引き出す 福井・介護老人保健施設 あじさい
老人保健施設あじさいでは、週四回の「ちくちくクラブ」で、利用者さんが裁縫をしています。この夏、クッションや約七〇個のティッシュケースを「平和バザー」で販売することができました。
「もう何もできなくなった」という高齢者や認知症の人の、こうした能力を引き出すことは難しく、頭を悩ますことも多いと思います。
当施設も例外ではなく、利用者さんに喜んでもらえる作業を、と和裁のできる介護職員と作業療法士が頭をひねり選んだのが、「紐織りクッション」と四角く縫うだけの「簡単ティッシュケース」です。
両方とも縫い目が表にでないため、多少縫い目が揃わなくても大丈夫。縫う部分にハッキリと印をつけることもできます。視力の低下した人や理解の難しく なってきた人でもとりくめます。また、工夫できる人には、数種類の布を組み合わせて、センスを発揮してもらいます。こうすると、型紙もいらず、まっすぐ縫 うだけで、素敵な作品がたくさん生まれました。
完成したときの達成感や、家族や職員からの賞賛の声に、お部屋で臥床(がしょう)しがちだった人も、「忙しくて寝てられなくなった」と、毎日一生懸命起きてつくるようになりました。
原水禁世界大会に職員を送るための平和バザーに作品が出品され、「私の作品を買ってくれた人がいた」ということが、大きなやりがいになっているようです。
「二度と戦争は起こしたくない。若い職員さんが平和について学ぶのは大切です」と、平和への願いを込めて一生懸命につくってくれる利用者さんの姿に、平 和の大切さについてもあらためて気づかされました。(上坂 歩、作業療法士)
(民医連新聞 第1411号 2007年9月3日)