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民医連新聞

民医連新聞

青年が学ぶ 自信つけ仲よくなる若者たち 援助する先輩の喜びも

 「民医連大好き人間を育てたい」「平和と人権を自分の言葉で語れるように」…県連や法人で、青年職員を中心に様ざまな教育企画が とりくまれています。青年自身が主体的に参加するフィールドワーク、共感と信頼をはぐくむ語り合いなどを、先輩職員が応援しています。三つのレポートを紹 介します。

新入職員70人がまとめた「地域レポート」 福岡医療団

 新入職員七〇人がテーマを考えて調査し、地域で事業所が果たす役割や医療従事者の思いをまとめる「地域レポート」は今年で二回目。七月四日に約一〇〇人で発表会を行いました。
 四月のキックオフ集会から約三カ月、医師や看護師、セラピストなど多職種の新人が七班にわかれ、調査や分析、まとめをすすめました。
 テーマは「高齢化にともなう老老介護」「老老介護の実態」「タクシードライバーの健康問題」「医療費に対する意識調査(吉塚駅前などで実施)」「千代小 学校の子どもと保護者からみた千鳥橋病院の評価(五、六年生の児童五四人と保護者にアンケート)」「性感染症に対する若者の意識調査(公園で一八~二五歳 の若者から聞き取り)」「千代診療所の診療体制について(勤労者のかかりやすさを調査)」どれも大胆にアタックした調査でした。
 発表会では先輩医師、看護師長らから、たくさん質問や感想が出され、新人は一生懸命に答えました。会のまとめをした副院長から「発想が新しい。調査内容が豊か」と高い評価を受けました。
 先輩職員が一グループに二人つき、テーマ設定からまとめの作図やパワーポイント作りまでアドバイス、いろいろな話をしながら関わりました。業務時間外に集まって議論する新人、差し入れで励ますことも先輩の喜びです。
 二〇〇二年から「新入職員オリエンテーション」を法人として位置づけ、先輩職員や労組、病棟師長など職場長が理解と援助を寄せたことが企画成功の鍵で す。そういう中で今年も研修医を含む多数の新入職員が反核平和チャリンコ隊・原水禁世界大会に参加しています。
 企画は二年前、「オリエンテーション実行委員会」が発案。「新入職員が職場に配属された後も同期や先輩とつながりを保ち、平和の運動やJBの運動なども いっしょにやっていけるように」「多職種の協力でつくる民医連らしい医療活動を味わってほしい」などの論議で始まりました。
 〇六年度は実行委員会があらかじめテーマ(被爆者医療・ホームレス・薬害について)を決め選んでもらいました。〇七年度は、医師研修委員会の提案でバー ジョンアップ、テーマも新入職員が論議して決めることに。楽しみ、やる気が増したようです。
 手間もお金もかかりますが、発表する姿は感動的で、新人は自信をつけ、職員の絆が深まります。なにより「民医連大好き、福岡医療団大好き、自分も民医連でがんばろう」という職員を育てることができると思います。
(今井公一、教育部長)

「論文」書いて中国・韓国へ平和ツアー 医療生協さいたま

 〇六年度、法人に青年委員会が発足しました。社会保障や平和の問題について青年職員自身が考え、運動を広げようという目的です。
 青年委員会は、NPT再検討会議のNGO行動、原水禁世界大会、辺野古支援連帯活動、九条の会、3・1ビキニデーなどに参加したことのある青年たちが中心になりました。メンバーは、入職一~三年目の職員です。
 初めて企画したのが、「青年の平和論文」の募集です。青年職員同士が声をかけ合い、参加を呼びかけました。三六人から応募があり、原水爆禁止世界大会を 前に「青年の平和論文大会」をひらき発表しました。このとりくみで、青年や中堅職員の中でも「憲法・平和」が話題になり、中心になって動いた青年たちに大 いに励まされました。そこで、作品のすべてをまとめて論文集として発行しました。
 また、大会で最優秀賞と優秀賞になった二人に、全日本民医連主催の平和ツアー「中国コース」「韓国コース」参加がプレゼントされました。
 その後、ツアーの報告会の開催など、新たな盛り上がりができました。感動と行動、九条の会も広がりました。辺野古支援連帯には、第一次から第九次まで参 加しています。呼びかけから報告会の開催まで、青年委員会が活躍。「青年委員会ニュース」で学習会の企画や、学んだこと、参加者の感想などを載せていま す。
 〇七年度も「青年の平和論文」を募集中です。応募が始まり、今年の副賞は全日本民医連の「中国平和ツアー」の予定です。
(芹澤弘靖、総合サービス課長)

「平和・人権ゼミナール」開いてます 愛媛民医連

 愛媛民医連の職員のうち約四割が三五歳までの青年です。彼らからは「学びたい」「民医連運動を もっと理解したい」など積極的な声とともに、「先輩職員に普段からもっと民医連を語ってほしい」「行動に参加させるだけでなく、フォローしてほしい」「相 談できる体制を」などの注文がありました。
 そこで、「管理者や先輩が、青年職員とともに考え悩み、行動する機会をつくろう」「青年が輝くことは、援助する職員が輝き成長すること」「民医連だいす き、医療生協だいすき人間になってもらうには、自主的・集団的・継続的な学習機会が必要」と話し合い、愛媛民医連「平和・人権ゼミナール」を発足させまし た。
 「多忙な職場から受講生を出してもらうために、まず職責者に意義とイメージを理解してもらおう」と五月にプレ企画をしました。ハンセン病回復者が暮らす 岡山の長島愛生園でのフィールドワークです。県連会長をはじめ病院の事務長、看護師長たちと、運営委員の青年五人が参加しました。
 受講者は様ざまな職場から集まり、六月二七日に開講。「人権と平和を自らの言葉で語れるようになろう」の目標で、テーマは「ハンセン病」「沖縄」です。 受講生は一〇人、毎月一回半日を勤務保障し、来年三月まで全一〇回の予定です。
 すすめ方は、毎回の学習や討議から「課題」を設定し、受講者が分担して答えを導き出します。誰かがコーディネートするのでなく、議論しながら自分たちで つくります。一一月には沖縄で現地学習し、二月にはゼミでの学びを県連の医活運動交流集会で報告します。
 初日から活発な声・意見がいっぱい出ています。ゼミの後に開く運営委員会の意見も積極的です。「無知は罪だと思った。知識はただ得るだけでなく、他の人 に知らせたい」「ハンセン病の知識がなかった」「人権や倫理は様ざまな問題と関連している」「人権と平和はつながっている」などです。
 二回目の七月一八日には、それぞれが事前に調べ学習してきた宿題をグループで話し合い、全体で発表しました。「人権って何だろう、人権侵害とは何を指す か」の議論から、日常にひそむ人権侵害の事例を探そう、とアプローチが決まりました。みんな意欲的で真剣な表情で話し合っています。
 青年職員がゼミで民主主義と人権感覚を身につけ「学ぶ力」を磨く姿を見守りながら、私たちも成長したいと思います。(重松まどか、運営委員長)

(民医連新聞 第1410号 2007年8月20日)