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民医連新聞

民医連新聞

フォーカス医療・福祉の実践(13) ホスピスケア病棟準備中 10月オープン 北海道勤労者医療協会 中央病院

全室差額なしは北海道初

民医連らしい心のこもったケアを

 北海道勤医協・中央病院は、札幌市東区の中核病院です。一般病床三一九床と回 復期リハビリテーション病床五四床をもつ、臨床研修指定病院です。いま急性期医療を担う病棟の一部に、がん末期の患者さんなどを対象にしたホスピスケア (緩和ケア)病棟を開設する準備をすすめています(一〇月一日オープン)。室料差額をとらないホスピスとして注目されています。急性期病棟との連携で経営 改善や、癒しの医療の発展も期待されます。ホスピスケア病棟準備室からの投稿です。

高まるニーズに応え

 当院を受診する人の中で、がん患者さんは約三割。緩和ケアを必要とする患者さんは月一〇人前後います。緩和ケアのニーズは年ねん高まっており、職員の間にも「当院にも開設したら」という声がありました。
 当院は二〇〇三年、病院機能評価を受審したので、「緩和ケア病棟入院料」や「緩和ケア診療加算」の算定要件の一つを満たしました。
 また昨年、北海道民医連ではじめて、加藤真由美看護師が「ホスピスケア認定看護師」の資格を取得しました。四月に緩和ケア病棟開設準備室を立ち上げ、医師・看護師・薬剤師など、多職種で勉強会を続けてきました。
 そして今年、緩和ケアに携わっていた小林良裕医師が復帰し、開設の準備が加速しました。小林医師は勤医協で三年間研修した後、札幌南青洲病院の緩和ケア病棟立ち上げに参加し、四年間の経験を積んできました。

休止中の病棟を改装

 現在休止中の七階東病棟を改装し、一八床の緩和ケア専門病棟にします。個室は八室、二人部屋が二室、三人部屋が二室です。家族控え室や、患者さんが家族 や友人とくつろいだり、簡単な調理ができるラウンジも備えます。病室やラウンジからは素晴らしい夜景が望めます。「ここで民医連らしい心のこもったケアを 提供したい」とスタッフは希望に燃えています。
 道内には現在九施設(札幌市内五施設)に緩和ケア病棟がありますが、室料差額を徴収しない施設としては道内で初めてです。当院での開設に、他の医療機関や患者さんから期待が寄せられています。

経営改善の努力として

 緩和ケア病棟の開設は、北海道勤医協の経営改善にも位置づけられる事業です。緩和ケア病棟単独での収益効果に加え、一般病棟の相乗効果も期待できます。対象患者を緩和ケア病棟に移すことで、一般病棟を急性期疾患用として活用がはかれるからです。
 将来は、「日本がん治療認定医機構」の認定施設をとり、「がん専門医」の二年間の研修を受け入れたいと考えています。
 がんが日本人の死亡原因のトップの座を占めて二〇数年。国民の二人に一人はがんになり、三人に一人はがんで亡くなる時代になりました。
 今年四月施行の「がん対策基本法」でも、がんの予防、早期診断、治療に加え、早期からの緩和ケア導入がうたわれています。

在宅ホスピスと連携も

 七月六日、地域住民や医療関係者に対し、当院の緩和ケアに対する考え方とプランを説明する会を開きました。小林医師は次のようにのべ、理解をお願いしました。
 「緩和ケアは終末期になる前に行うものです。痛みを上手にコントロールすると生命予後も伸びます。これは多くの研究者が指摘している事実です。痛みや症 状をがまんする必要はありません。日本では緩和ケアの導入が遅れ、学生や研修医がその技術を学べない現実があります。
 また、多くの患者さんが悩む不安や孤独、仕事や家族のこと、人生観などに対して、スピリチュアルなケアも実践したいと考えています。
 最も必要なことは、患者さん、ご家族と医療者、スタッフとの信頼関係です。緩和ケアは医師や看護師はじめ、多職種でのチーム医療が不可欠です。
 当院は在宅での緩和ケアをささえる開業医と連携し、バックアップベッドとしても利用してもらい、地域の要望に応えていきます」。

(民医連新聞 第1410号 2007年8月20日)