くらし破壊ストップ 高齢者の生活を守れ、生活保護の拡充めざす月間 「生活できない」相談受け交渉も
全日本民医連の「高齢者の生活を守れ、生活保護の拡充をめざす強化月間」(六~七月)では、 各事業所が地域社保協などと協力し、まちに出ての宣伝・署名、学習会、高齢者・気になる患者さん訪問、老人クラブ訪問、相談会や一一〇番、集団減免申請な どを展開しています。地方税・国保料(税)の値上げに対する怒りと「暮らしていけない」の悲鳴が渦巻くなか、減免制度を知らせ、ともに交渉して修正させた り、生活保護受給などを支援した経験も寄せられています。
未収金で訪問 生活保護とれた
【富山発】一人は、市営住宅の明け渡し通知を受け、ホームレス寸前になっていた四〇代の男性で した。富山協立病院の医事課職員が、窓口未収のある患者さん訪問で知り、病院の「何でも生活相談」に誘いました。病気なのに「働ける年齢だから」と生活保 護の申請を拒否されていました。職員が同行して市と交渉した結果、生活保護が受給でき、市営住宅の継続も認められました。
また、救急車で入院した四〇代の男性は、保険証がなく、糖尿病でしたが自己注射を中断、食事も取れず動けない状態でした。長崎出身の六〇代の被爆者は、 入院中は被爆医療で医療費が無料でしたが、無年金で、被爆者健康管理手当て(月額三万三八〇〇円)だけでは退院後の生活ができません。二人とも市と交渉 し、生活保護の申請を受理させました。
ほか、人工透析の患者さん(六〇代)も申請を準備中ですが、生活保護になると転院しなければなりません。生活保護受給の透析患者の場合、〇七年三月診療 分から、生活保護の「医療扶助」でなく、自立支援医療(更生医療)に移り、認定(指定)医療機関でしか透析が受けられないのです。国の医療費負担は、医療 扶助が四分の三。自立支援医療は二分の一。国が負担を自治体に転嫁したため、患者さんにも不都合が生じています。(中山雅之・富山民医連)
住民税・国保料 4割で軽減の見通し
【兵庫発】六月二一~二三日、神戸市で社保協としてとりくんだ国民健康保険料・住民税の相談会に、五九二人が相談に来ました。その内、約四割の二三八人が軽減される見込です。
税額から控除されるものや国保料減免制度が知られていません。申請しにくい制度なので、多くの人が払い過ぎている現状です。たとえば神戸市では、障害者 控除の書類を入手する手続きや基準がわかりにくく、介護認定を受けている人の申請者が少数です。確定申告していなかった障害者の一人は、五年間をさかのぼ る還付請求で、数十万円も戻ってくることに。
今回、保険証がなくて受診が遅れ死亡した事例など(民医連の調査)を記者会見で発表したため、相談会についても新聞やテレビが注目し報道しました。これ からも事例収集をすすめ、保険証の取りあげを止めさせ、低所得者が増えている現状に合わせて減免制度を広げるなどの運動を強める方針です。
(大杖哲司・兵庫民医連)
中学3年生まで資格書発行せず
【東京発】「子どもからの保険証取りあげは止めます」。東京・板橋区長は、六月議会で日本共産党の議員に答え、「資格書の発行対象から子どもを除外する」と明らかにしました。
小豆沢病院の職員たちも「ぜんそくの子どもから保険証を奪うなんて」と問題にしていました(「民医連新聞」四月一六日)。
板橋区は今年の一〇月から、子どもの医療費助成を中学三年生まで引き上げます。合わせて九月の保険証の更新時に、滞納世帯でも、中学三年生までの子ども には「短期保険証」を出すというもの。決して十分ではありませんが、一歩前進と見て、運動を強めています。
(西坂昌美・小豆沢病院)
老人クラブ会長を訪問 高齢者医療で申し入れ
【神奈川発】汐田病院では、老人クラブを訪問し、「高齢者医療制度の説明会を開きませんか」と申し入れをしています。三日間で一五軒を訪問し七軒で対話しました。
ある会長さんの家では、「汐田病院から」というと大歓迎。民生委員もしている人でした。「『一人暮らしの高齢者の姿を見かけない』との連絡を受け、倒れ ているところを発見し、救急車を呼んだことが続けてあった」など、心配を切せつと話しました。
説明会の講師依頼は五件になりました。(阿部健司・横浜勤労者福祉会)
紙芝居やチラシで学習すすめる
【京都発】地域社保協で「なんでも相談会」を京都市内の一一行政区すべてで実施しました。「税負担を軽減できないか」「国保料が高すぎる」の相談が多数ありました。友の会の班会でもチラシや紙芝居、寸劇などで訴えています。
(勘解由貢一・京都民医連)
気になる患者さんを訪問
【長野発】上伊那生協病院では、職場・地域での学習や周辺地域のチラシ配りなどをすすめています。六月二一日は「気になる患者訪問」。短期保険証、経済的理由で検査をキャンセルした人などを訪問しました。
(武藤沢・上伊那生協病院)
「誰が決めたの?」 相談所に声
■扶養家族が減ったため住民税が昨年の四・三倍になった。区役所に問い合わせたら、「借金しても払ってほしい」と言われた(東京)。
■住民税が二倍、二二万円になった。医療費や家のローンを払うと金がなくなる(六〇代男性・東京)。
■九二歳の母と二人暮らし。第一期分が五万四〇〇〇円。若いときに一生懸命働いてきたのに…。誰がこんなこと決めたの?(東京)
■年金だけでは生活できないので働いていたが、仕事がなく収入が半減した。それなのに税金が二倍になった(北海道)。
■夫がリストラにあって収入がなくなった。税金を払いきれない(北海道)。
■住民税が上がったし、医療費の負担が今月は三〇〇〇円多い。検査を延期したい(八〇代男性・福岡)。
■昨年は住民税が九〇〇〇円になって驚いたが、今年は四倍も上がった(八〇代女性・神奈川)。
■昨年は保険を解約して納税した。今の税金は江戸時代の庶民いじめよりひどい(七〇代・男性・神奈川)。
(民医連新聞 第1408号 2007年7月16日)