地域で医療を守る(11) 1000人の県民集会ひらく 市町村すべてが後援 秋田
「医師ふやせ 看護師ふやせ」の声が五月二七日、秋田のまちに響きました。秋田県社保協が主 催、県内の全市町村はじめ様ざまな団体が後援した「医師・看護師を確保して地域医療を守る県民集会」に約一〇〇〇人が参加し、集会後はパレードしました。 秋田民医連も実行委員団体として、準備から当日の運営まで奮闘しました。
「里帰り出産お断り」
秋田県でも医師・看護師不足が深刻です。大館(おおだて)市では、市立扇田(おおぎだ)病院が 産科を休止し、市立総合病院のお産件数が激増、「里帰り出産はお断り」にしました。男鹿(おが)みなと市民病院は、昨年一一人いた常勤医のうち五人が退 職。お産ができなくなり、透析患者の一部が転院する事態です。秋田市立阿仁(あに)病院は病棟を閉鎖しました。
秋田県は数年前に奨学金制度をつくり、今年は五人の医師を採用し、各地の自治体病院に派遣する計画でしたが、採用すら実現していません。男鹿市ではコン サルタント会社に七〇〇万円弱を支払い、防衛医大卒の医師と契約しましたが、兼業勤務禁止に抵触し、四日間しか勤務せずに退職。責任問題に発展してしまい ました。
看護師も、首都圏からの募集・引き抜きが激しく、県内で7:1看護の届け出ができたのは四施設しかありません。
全市町村、諸団体が賛同
県社保協は事態の打開をめざし、大集会を開くことを決め、二月から準備しました。元秋田大学医学部長や元十文字(じゅうもんじ)町長などに呼びかけ人になってもらい、市民団体にも推薦を頼みました。
後援団体も広げました。秋田には、医師会・歯科医師会・薬剤師会・看護協会を中心に、老人クラブ連合会・婦人団体連合会・社保協が加わる「21世紀の医 療を守る会」があります。この会も後援を決め、賛同者は八一団体、五二七個人に。意見ポスターをつくり、チラシ三万枚を配布しました。
全市町村を回り依頼しました。二年前からすでに「医師・看護師不足の解消を求める陳情」は二五の全市町村で採択されています。事態を深刻に受け止めてい る首長は多く、三週間で全市町村から「後援する」旨の通知が集まりました。自民・民主・共産・社民の四党、難病連、腎臓病患者協も後援を決めました。
発言者に患者急変のコール
集会では、秋田民医連会長の草彅芳明医師が訴えました。予定していた県医師会の発言者が患者急変のため呼び戻され、ピンチヒッターでした。医師態勢の厳しさを示すエピソードです。副会長の佐藤幸美医師が司会をしました。
社保協の西丸功事務局長が県内の実態について報告し、対策についての要求を提案しました。政府の責任で実態調査をすること、県は医師確保の計画を立て、 看護師の需給計画を見直すこと、秋田大学医学部に地元採用枠を設ける、など七項目です。
要望書は集会名で、政府と県に送付しました。集会は翌日の新聞で大きく報道され、関心と要求の強さを感じました。(庄司文男、秋田民医連事務局長)
(民医連新聞 第1406号 2007年6月18日)