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民医連新聞

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私たちの願い参院選へ 与野党政策くらべ(2) 対象1300万人 高齢者医療制度は中止を 重い保険料徴収 診療報酬で差別

  二〇〇六年に自公与党が強行成立させた「医療制度改革法」。これによって、医療療養病床の食費・居住費が自己負担になり、「現役並所得」高齢者は三割負担 に。〇八年四月からは七五歳以上を対象に「高齢者医療制度」が実施されようとしています。前回に続き、各党の政策を比較しました。

保険料を年金から天引き

  高齢者医療制度は県単位の広域連合が運営する新制度で、特徴は、(1)年間の保険料が平均で七万四四〇〇円と重いこと。二〇一五年には八五〇〇〇円になる 見込みです。年金月額が一万五〇〇〇円以上の人からは天引きで徴収。介護保険料と合わせ、年金の半分まで「天引き可」というもの。保険料を払わない場合、 国保と同じように「資格書」を発行。窓口で医療費の全額を負担することになります。
 (2)診療報酬は「包括化」などが検討中です。年齢で差別し、十分な治療を受けさせないねらいがみえます。高齢者の人権を損なう制度です。(3)さら に、制度のあり方が問題。病気になるリスクが高い高齢者だけ加入させ、医療費が上がれば、保険料を上げるか、診療報酬を下げるかしかないしくみです。
 七五歳以上、一三〇〇万人を対象にするこの制度は、高齢者に耐え難い負担を強い、「長生きするな」というようなもの。医療史上最悪であり、先進国に類が ありません。すでに日本は、患者負担が先進国の中で一番、重くなっています(図(1))。こんな制度を発想すること自体が、高齢者の生活に無知か、高齢者 の生きる権利に無頓着なのか、疑われます。
 全日本民医連理事会は「高齢者は長生きするなというのか 自・公政権」を発表し、後期高齢者医療制度創設や療養病床削減中止・撤回を強く要求し、国民的大運動を呼びかけました。
 療養病床協会も「後期高齢者医療制度への七つの提言(四月一二日)」を発表し、「適正な医療を受ける権利は基本的人権から考えても年齢によって差別され るものであってはならない」「後期高齢者医療制度は医療費抑制のツールとしてつくられるべきものではない」とのべています。
 一方、経済同友会は、高齢者にも「三割負担を」と要求しています。この圧力に迎合するのか、憲法の精神にもとづく制度に直すのか、参議院選挙での大きな争点です。

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与党財界の要求で

 03年3月に小泉内閣が閣議決定した医療制度改革の基本方針で「75歳以上の高齢者について別立ての医療保険を新設すること」が打ち出されました。同年1月の日本経団連「新ビジョン」が、海外での企業競争力の回復を理由にして、年金・介護・医療などに関わる企業負担の軽減を要求したことを受けたものです。
 自民党は、「政権公約2005年」で、「医療制度の改革を断行。新たな高齢者医療制度の創設」「在宅と施設の利用者負担の公平性の確保(ホテルコスト・食費等の見直し)」と推進を掲げました。公明党も「新たな高齢者医療制度創設、保険者の再編統合、診療報酬体系の見直し」(マニフェスト2005)を。両党は05年介護改悪、06年医療改悪を強行しました。

 

野党は「疑問」視 政策には差が

 「高齢者に過酷な保険料を課し、『痛み』につぐ『痛み』を押しつける、際限のない負担増。高齢者の医療給付を削減し、差別医療になる危険性がある」(共産党)。「医療費の管理を他の世代と別枠で行うため医療格差が心配。全加入者から保険料を徴収、滞納すれば保険証が取りあげられる点も問題。現在、全国一律の保険料に格差が生じる」(社民党)。「平均寿命の男女差、75歳以上の男女比から見て合理的ではない。高齢者に一律に現役並の自己負担を求めるべきではない」(民主党)。野党は各党とも批判的です。
 一方、制度に対する政策には差があります。
 「財界の負担削減とアメリカからの規制緩和の要求に対抗し、庶民の保険料負担と患者負担の軽減をめざす」(共産党)。「安心の社会保障のため、企業の社会的責任を強く訴える」(社民党)。
 これに対し民主党は「保険料や自己負担などについて、国民で分かち合う総合的な社会保障制度」。民主党は2005年「衆議院選挙マニフェスト」では「新たな高齢者医療制度の創設を含む医療・医療保険制度の改革」を掲げました。

(民医連新聞 第1404号 2007年5月21日)