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民医連新聞

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いのちのSAMBA9条の会 ―埼玉協同病院―

 「生まれてきたすべてのいのちが大切に育まれますように」という願いをこめた「いのちの SAMBA(サンバ)9条の会」。埼玉協同病院の助産師など、産婦人科病棟の職員でつくりました。いのちの重みを知る「産婆」たちは、サンバの曲のように 明るく、親と手をつないで、平和の願いを広げています。あかちゃんにも足型で署名に協力してもらい、これまで集まった足型は三四人分。たくさんつなげて、 平和の旗(タペストリー)をつくり、いのちの大切さを訴えています。(板東由起記者)

あかちゃんは足で署名を

 「紫音(しおん)ちゃ~ん」。助産師の清水将子さんは、あかちゃんの名前をやさしく呼んで、小 さな足に紫色の絵の具を塗って布にペタリ。生まれたばかりの女の子・紫音ちゃんの「足型署名」です。病棟では、お母さんたちに「憲法九条を守ろう」の署名 をお願いしています。「あかちゃんにも参加してもらいたいね」と、お母さんの好きな色で、あかちゃんの足型署名に協力してもらうことにしました。
 紫音ちゃんのお母さんもその賛同者の一人。「平和活動にとりくんでいる病院と聞いて、はじめはビックリ。でも考えてみると、自分が親になって、両親への 感謝の気持ちが湧いてきた。私も紫音のために、安心して子育てできる社会になってほしい」と話しました。

お母さんや職員の協力で

 病棟に掛けてあるあかちゃんのパネル写真。これには英文で「この小さな手に武器を握らせないで。この小さな足に戦場をふませないで。この瞳に戦場を映さないで。私は助産師です」と書いてあります。医師が英訳を手伝ってくれました。
 清水さんは二〇〇五年、NPT(核不拡散条約)再検討会議にむけたNGOの反核運動でニューヨークに行きました。パネルも持参しました。出発前、職員だ けではなく、入院中のお母さんにも呼びかけ、たくさんのカンパをもらいました。
 パネルの横には、手づくりの壁新聞。「患者さんにも知ってもらうため、新聞にしたら?」と、村田里美看護師長の提案でつくったものです。つくること、見 ることで職員は考える機会が増え、自然に一人ひとりが、自分にできることをはじめています。

いのちの大切さを伝えたい

 清水さんはニューヨークからの帰国後、院内学習会や部会、班会で報告しました。病棟や院内でも戦争や平和について学習しました。その後、民医連平和ツアー(中国コース)にも参加。地域や団体からも「話してほしい」と声がかかります。
 清水さんは、「助産師として、あかちゃんが生まれてくるときの喜びを毎日感じています。お母さんも必死な思いで産んでいる。そのいのちを誰かの手で奪っ てはいけない。戦争で得るものは何もなく、唯一残したのは、もう二度と人を殺し殺される戦争をしてはいけない、という教訓です」と訴えています。
 「あるお父さんが『九条を守らないと、この子の未来が心配。平和を引き継いでくれるような子に』と、あかちゃんを「夢九(むく)」と名付けました。『輝 く夢の九条を守る』という意味です。ニューヨーク、中国、そしてこの夫妻の平和への願いが、私の活動の力になっています」と清水さん。
 大学で講義もしています。授業の最後には、夢九ちゃんの写真を学生に見せ、名前の由来を話しています。「いのちの大切さを伝えていきたい」と語りました。

(民医連新聞 第1403号 2007年5月7日)