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民医連新聞

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9条は宝 発言(22) 元校長ら1000人が教育現場へエール

 和歌山県では、小・中学校などの元校長・教頭など約一〇〇〇人(〇六年一一月で九七四人)が「九条の会」アピールに賛同し、話題 になっています。運動の中心メンバーには、和歌山中央医療生協の組合員がたくさんいます。〇五年七月から二〇人ほどではじめ、入院中や住所変更などで連絡 をとれなかった人を除く、約一六〇〇人の元管理職すべてに呼びかけ、賛同者は六割を超えました。井澤慶三さんと木下和久さんは、「元教育長が賛同してくれ るなど、思いもよらない人にまで賛同が広がった」と、憲法九条への思いを強くしています。

 ついに教育基本法が改悪されてしまいました。国はできる子とできない子を差別し、教師を適切か不適切か評価する管理を強めようとしています。
 一九五〇年代にも教育の改悪に、多くの教職員が反対して立ち上がりました(勤評闘争)。「教師にものを言わせず、教育内容を国が決めることは、国の命令 をきく国民をつくることだ。教え子を再び戦場に送ってはならない」とたたかいました。
 これに参加した人たちの多くは管理職になり、「日の丸・君が代」問題でも抵抗してきました。私の場合は、教育委員会の「指導」があっても職員と納得する まで議論し、卒業式の「君が代」は伴奏ではなくテープを流すということが何度かありました。
 元管理職の憲法・教育基本法改悪反対の思いが現場の教職員に伝われば、大きな励ましになると思いました。

教育は児童・生徒の立場に立つこと

 校長をしていた時、たった一人の障害児を受け入れるため、教職員や保護者みんなが協力して、障害児学級を新設したことがあります。どんな子でも、できないと切り捨てるのではなく、一人ひとりにあった教え方を考え、大切にしいと、教職員は思っています。
 いま、給食費滞納が問題にされていますね。滞納している子どもの家庭に隠れている経済的な問題も、忘れてはいけません。教師が「金も払わんて、なんて親や」じゃなく、子どもの立場で議論できたらいいのですが…。
 子どもの立場に立つ教育的な実践が、学習権の保障であり、憲法の精神を具体化することなのです。子どもたちを大切にし、平和な社会を願って活動している 現職の教職員を応援したい。そして、私たちは元教師として、できることを地域にひろげ、地域を変える一助にしたいと思っています。(木下和久さん)
 私の住む地域では、音楽の教師が積極的に地域に出て、歌のグループをつくっています。学校にはいろんな教師がいますから、地域文化の担い手にもなれるのです。

人のつながりと地域を大切に

 学校の統廃合をすすめ、学校選択制で、生徒が集まらない学校は廃校にする動きすらあります。し かし、地域に学校がなくなったらどうでしょう。子どもは、子どもや大人とのつながり、地域の自然と接する機会が断たれ、地域の荒廃に拍車がかかります。だ から、逆に統廃合ではなくて、学校を中心に地域づくりをしよう、と運動しているところもあります。
 私は老人施設などで童謡を歌うボランティアもしています。戦前は『もみじ』や『たきび』といった童謡が禁止されていました。戦意高揚に反する、灯火管制 に反する、という理由です。だから、当時の作詞家はすごく工夫をして、歌詞に社会批判の思いを込めていたのです。そんな話を紹介しながら、お年寄りと歌い ます。みなさん、すごく感動して、涙ながらに戦争体験や、それぞれの生きてきた道を語ってくれます。話の一つひとつに、戦争のむごさが実感できます。
 いま、私の住む地域に、医療生協が介護支援センターをつくる準備をすすめています。そこは、お年寄りがつどい、畑をつくったり、歌ったり、みんなが楽し める開かれた施設にしたい。それでみんながんばっています。これは、学校づくりとよく似ています。
 国は、「子どもには愛国心」を、「患者には自己責任」を押しつけています。どちらも狙いは、「文句を言わない国民になれ」ということです。子どもや患者 の立場にたち、人とのつながりや地域づくりを大切にすることで対抗したい。学校も民医連も、運動はすごく共通しています。(井澤慶三さん)


 

木下 和久 さん
 1941年生まれ。和歌山市の元小学校校長。「九条の会」アピールを支持する小中学校元管理職・和歌山県呼びかけ人代表。
和歌山中央医療生協副理事長。

井澤 慶三 さん
 1935年生まれ。紀美野町の元中学校校長。「童謡・唱歌」の和歌山県シニアマイスター。「海南海草地方・九条の会」、「音楽・九条の会」賛同者。和歌山中央医療生協組合員。

(民医連新聞 第1398号 2007年2月19日)