青森 薬局から平和発信 3年目に 病院診療所・地域の共同へ 大野あけぼの薬局・あおもり協立病院
あおもり健康企画・あけぼの薬局が続けている朝の九条・二五条宣伝は、三年目に突入しました。職員のほとんどが参加し、自分の言 葉で訴えています。とりくみは連携する病院・診療所にもひろがりました。患者さんの身になって情勢を学習し、励まし合うことが継続のエネルギー。吹雪にも 負けない熱い宣伝です。(川村淳二記者)
一月九日の朝八時。大野あけぼの薬局、あおもり協立病院・協立クリニック前に、「守ろう憲法9 条」のポスターやのぼりを手に、約一〇〇人の職員がズラリと並びました。時おり小雪も舞う中、「九条は日本国民の正義の基準です」と声が響き、通勤途中の 市民や、バスを待つ学生が振り向きます。リレーで訴えるのは若い職員が中心でした。
あおもり健康企画は正職員三〇人ほど。〇四年の一一月から五つあるすべての店舗で、九日は憲法九条と平和を、二五日は憲法二五条と人権をテーマに、始業前に約一五分間、宣伝を続けています。
きっかけは〇三年三月のイラク戦争です。いち早く大野あけぼの薬局が平日早朝に停戦を訴える宣伝を始め、約一カ月間続けました。その後、その時どきで平 和行動にとりくみましたが、〇四年一〇月の管理者会議で九条・二五条の価値を継続的に訴えることが大切と話し合い、全店舗でとりくもうと確認。職場に提起 し、議論を経て一一月九日から行動を開始しました。今では全店舗に「九条の会」が立ち上がり、全職員が入会しています。
学習が職員の自覚に
早朝宣伝は日常の活動として定着しています。職員のほとんどが参加し、特に担当を決めなくても誰かがハンドマイクで訴えます。
「自分より若い職員がよく訴えている。負けずにいろいろ調べて内容を考える」というのは、一年目の薬剤師・津川なつみさん。若い人もみんなで誘いあって する宣伝に抵抗感もなく、四月九日から参加しました。「入職したころは憲法のことなどよく知らなかった。職場学習でその重要性を感じるようになり、宣伝は 地域に訴える場と思い、今は休まないことを目標にがんばっている」といいます。
職場では週一回、朝会で二〇分ほどの情勢学習が定着しています。「窓口や訪問で患者さんの困難事例に触れ感じたことを情勢とつなげ、運動に生かせるよう 準備する」というのは、九年目の事務職・柳谷円さん。昨年は中心的にチューターを務めました。平和は社会保障の大もとという認識と行動を促したのです。
宣伝をはじめたころ、「参加者一人」という体験もした柳谷さんは、「自分がやろうとの思いを大事にして、みんなで分かち合いながらやりたい。強制ではなく、自発的にできるように工夫したい」と気配りしました。
法人の社保平和委員会が、ニュースで他店舗のがんばりも伝え、事業所間で励ましあっています。
「中堅職員も自ら学習し、行動している。薬剤師の社保活動の一つとして、意識づくりに役立っている」と、西村美和薬局長。後継者づくりも意識しています。
すごいことをしているのに、構えず、自然で、明るい雰囲気でした。マンネリにならないよう工夫し、職場づくりに努力している中堅職員の存在を感じました。
刺激し合い継続の力に
自前のハンドマイクがない店舗でも、行動開始時に隣接する診療所に「いっしょにやりましょう」 と呼びかけ、診療所と薬局の連携がはじまりました。あおもり協立病院の職員たちは夕方に宣伝していましたが、〇五年一一月から合流。院長も毎回参加してい ます。「お互いの刺激になり、継続のエネルギーになる」と同院の鎌田敦子事務長。今では、受診に来た組合員さんが飛び入り参加することもたびたび。共同が 地域へひろがろうとしています。
(民医連新聞 第1397号 2007年2月5日)