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民医連新聞

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2005年度研修医満足度調査から 早まる進路決定、民医連を担う医師養成が課題

二〇〇四年に続き、研修医満足度調査を実施しました(詳細データは民医連資料二月号)。結果から見える傾向を幾つかのべます。
 今回も研修医の満足度は、一年次七五・二%、二年次八一・六%と、民医連外の調査に比べ高いものでした。教育ツールの整備については、肯定的な回答が五 九・四%から七二・四%へ上昇しました。研修の負担感は、今年度一年次は「負担である」が二〇・八%で、昨年の三三・七%に比べ減少。「ちょうどよい」が 五一・五%から六三・一%に上昇しました。自己成長への意欲も「向上」が四四・三%に上昇しました(昨年は三三・七%)。
 一方、目についたのは、研修評価に関する満足度の低下です。二二・八%が研修評価が「行われていない」と回答し、評価の内容も一年次の二一・四%、二年 次の三三%が「有益でない」と回答しています。しかし、指導医からのフィードバックへの評価は高く、一年次の九三%、二年次の八八%が「役に立っている」 と回答しています。各指導医の力量のアップが背景と思われますが、これと研修評価の満足度が乖離(かいり)しています。「研修評価会議」「振り返り」など に工夫が必要かもしれません。
 民医連を担う医師養成に関しては、運動に対する意識、病院の存在意義や医療活動に対する共感など、昨年の回答と同傾向でした。医療活動への共感に比べ、 運動課題への共感が弱い傾向です。しかし、記述内容を詳しくみると、社会保障の課題や、平和のとりくみそのものに反対という意見は少なく、「参加の提起が 強制的である」「言い方ひとつでちがうのに」など、参加や議論のすすめ方の問題を指摘する声がありました。また、「言ってることと実際にやっていることに 違いがあるのでは。もっと目の前の患者に全力をあげよ」など、研修だけではなく、病院の医療活動や全体の方向などに向けた新人らしい鋭い感性を感じさせる 回答もありました。
 研修終了後の進路では、民医連に限りませんが、研修と働くことの間に乖離(かいり)があります。研修の満足度と「後輩へ勧めたい・勧めてもよい」という 回答は高くても、「残る」という回答は半減します。入職時に、民医連に三年目以降も残るつもりで入職した研修医の比率は、〇三年入職四〇%、〇四卒四 九%、〇五卒四〇%です。また、進路の決定は早まっているようです。
 どう三年目以降も民医連で学び働き、成長のビジョンをもってもらうか、研究課題といえるでしょう。
 今回は他職種からのフィードバックや関わりについても質問しています。回答からは、研修担当事務の重要性が浮き彫りになりました。多職種で研修医を育てるというテーマは、今後も深めたいものです。
 今調査を通じ、民医連の初期研修の質が発展していること、同時に、課題の存在も明らかになりました。今後も、研修医から有意義なフィードバックが寄せられるよう質問項目も洗練させ、調査を続けていくべきと考えます。
 (山本一視・全日本民医連医師部医師養成委員会責任者)

(民医連新聞 第1396号 2007年1月22日)