一職場一事例 全県通信特集・1職場1事例
病棟でお茶会
出雲市民病院
【島根発】乳癌ターミナルのAさんは、ADLの低下や身寄りがないことなどで不安感が強くなっていました。そこで茶道や琴を習っていたことを聞いていた看護師たちは、Aさんの「お茶をたてたい」という希望を実現するため多職種に働きかけました。
当日Aさんは、おめかしもしました。鈴木正典医師がチェロ演奏し、抹茶・和菓子を楽しみました。お茶会後も穏やかな表情で写真を見ていましたが、四日後に永眠されました。
今後も患者さんとの会話を大切にして、そこから情報をつかみ、よりよい入院生活を送れるようとりくんでいきたいと思います。(古瀬綾子、看護師)
3年目が聞き取り
香川民医連
【香川発】一一月二九日、当県連は、三年目の合同職員研修を行いました。テーマはアスベスト問題です。当県連がこれまでとりくんできたことを学び、医療従事者として地域で果たす役割を確信することが目的です。
建交労の方から、アスベスト肺の労災認定についての講義を受けました。その後、地域に出て、患者さんのお宅を訪問。聞き取り調査を行いました。(香川民医連『教育学習委員会ニュース』より)
対話の大切さ実感
会津若松診療所
【福島=田中智通信員発】昨年八月に「現役並所得」基準が引き下げられ、窓口負担が増えた高齢者の多さに驚いています。そのあと基準が(1)住民税課税所得、(2)世帯の年収のどれにも該当しなければ、負担割合を一割に戻せることが分かりました。
自治体に問い合わせると、「申請があれば対応する」という回答。急いで文書をつくり、受診時に説明しました。元に戻せる人はいませんでしたが、「それだ けもらっているから…」「若い人に負担をかけて悪い…」という声が思った以上に多くありました。
受療権を守る私たちの意識と、対話の大切さをあらためて実感しました。
選挙の争点は国保税値上げ
桑名医療生協
【三重発】桑名市では一一月、合併後初の市会議員選挙がありました。
高齢者実態調査で訪問した高齢者からも「税金の値上げや介護保険料の値上がりで生活が大変」という切実な声。選挙は、国保税と介護保険料の値下げが焦点になりました。
選挙では、値下げを求める候補者三人が当選。予定されている「国保税値上げ」に反対する運動を組合員さんと発展させていきたいと思います。(岡順三、事務)
看護部研修に「社保活動実践」
新潟民医連
【新潟=酢山省三通信員発】一二月八日、看護部研修で初めて「社保活動実践コース」をつくりました。一〇年目以上の看護師一〇人がそれに参加し、「身近な患者さんの事例から改善・解決をすすめる」をテーマに事例を持ち寄り、後期研修を行いました。
研修では「高齢者の生活保護」や「県単独医療費助成制度」などを学びました。制度活用で患者さんの負担を軽減した事例が報告され、「人権のアンテナの感度を上げることが大切」と話し合いました。
看護部は、次年度もこのコースを継続し、看護現場での社保活動の推進をはかる方針を確認しています。
事例から学ぶ、地域へ
寄り添う医療を
埼玉民医連
【埼玉発】新入職員を中心に一〇六人が参加し、『パパからのプレゼント』の著者・窪田陽子さんが講演しました。窪田さんの夫は、子どもが産まれてすぐ、三二歳の若さでガンに。最期を迎えるまでの医療機関の対応と患者の思いについて話しました。
最後の転院先となった埼玉協同病院で、前例のない一時帰宅をかなえたスタッフの心が「かけがえのないプレゼント」と窪田さん。患者さんに寄り添う医療をあらためて考えました。
医療の大変さに共感し、期待を持って私たちを見つめ続けてくれる存在が、私たちへのプレゼントであり、考えさせられました。(東田伸夫、事務)
全職種で事例検討
福井民医連
【福井=畑奈緒美通信員発】当県連では県連社保担当者交流会で、全職種がそれぞれの視点で事例を集めて検討しています。
その中で同じ患者さんを複数の事業所が事例として出したケースもあります。
軽度認知症のAさんは、脳梗塞の既往もあり、薬がかかせません。しかし薬局だけでは生活実態が見えにくく、診療所と協力して情報を集め、一歩踏み込んだ対話をすすめています。
全職種が関わることで外来で分からないことも介護や薬剤師の視点から明らかになっています。
二月には事例検討会を開催し、「患者・利用者に寄り添う運動づくり」を深めていきたいと思います。
小規模多機能ホーム
「ふるさと」準備中!
姫路医療生協
【兵庫発】当医療生協では、「小規模多機能ホームふるさと」の建設がはじまり、二月のオープンに向け準備もすすんでいます。
組合員さんが「ふるさとつくる会」を結成し、ホームをアピールしています。一〇~一一月の行動では、組合員さんと職員七一人が八〇二軒を訪問、組合加入 や出資金増資のお願いをしました。初めて地域活動に参加した職員は「組合員さんと行動して、地域で果たしている役割が実感できた」と話しました。
建設運動が組合員、職員間の交流を深めるきっかけにもなっています。(岡田佐織、事務)
変える勇気を事例報告学習
千葉民医連
【千葉発】一二月一五日、事例報告学習交流集会を行いました。秋にとりくんだ高齢者実態調査やリハビリ上限の影響などの事業所のとりくみや北九州の生活保護問題現地調査に参加した青年職員の報告など、「今、起きていること」を共有しました。
新潟での国保料値下げ直接請求運動の特別報告では、「これからどうするか」を考えるきっかけになりました。参加者は「民医連に受診できる患者さんは恵ま れているのかも」、「重症になるまでなぜ受診しなかったの? と思ったが、患者さんの理由が分かった」と感想を語りました。
日常業務に追われ、気づけなかったことや、「無理だと思ってもあきらめず、挑戦するのもいいかな」と「変える勇気」につながった集会になりました。(鈴木ひとみ、事務)
全県通信特集・1職場1事例
資格書で受診
すぐに町と交渉
上伊那生協病院
【長野発】胃痛を訴えて来院した患者さんは資格書を持参しました。本人は保険証と思っており、診療費一〇〇%を請求され「これは保険証じゃないのか」とびっくり。
すぐに役場と連絡を取り、手続きに行くと、「滞納分の八割を入れないと保険証は発行しない。弁明書をもらったので審査会で検討する」と言われました。
そこで職員が、役場の条例、要項には「町長は災害や特別な事情(病気)の場合は保険証を発行する」と記載がある、と詰め寄りましたが、その日は発行されませんでした。
翌日、役場から電話で「受診日に遡(さかのぼ)って二カ月の短期保険証を発行する」と知らせてきました。早くねばり強く対応したことがよかったと思いま す。今後は、病気の場合は即、保険証を発行するよう求め、役場と懇談していく予定です。(武藤 沢(たく)、事務)
国保法44条で一部負担免除
あおもり協立病院
【青森発】肺がんで入院していた男性(66)は、医療費を心配し、化学療法を行わず退院しました。その後、SWが青森市と交渉し、医療費一部負担金の免除(国保四四条)を三カ月間適用させることができ、再度入院して化学療法を行うことができました。
この人は一カ月約一五万円の年金ですが、そのうち六万円を借金返済にあて、入院費が払えませんでした。税制の改悪で今年から課税世帯になり、減額も適応外。収入があるので生活保護にも該当しません。
「入院中に自己破産を申請して、借金を整理したら」と提案しましたが、「死ぬと分かっているのに自己破産はいや」と拒否しました。その後、外来治療になりましたが「自宅で何もせず死にたい」と言っています。
三カ月過ぎたら治療はどうするのか、制度の限界、本人の意思の狭間で倫理的な問題を感じています。(佐藤 泉、SW)
貸与継続を
竹田診療所
【大分発】竹田市は高齢化率三六%、山間農村地帯です。腰 や膝が悪い人が多数で、Aさんもその一人。両膝に人工関節を入れ、痛みは取れても膝が曲がらず、苦労しています。福祉用具レンタルが制限され、地域包括支 援センターに相談すると「ホームセンターや通販で購入して」という返事。竹田市では経過措置後に介護ベッド・車椅子の貸与を認めた事例はゼロで、全員が機 能の悪いベッドや車椅子を購入しています。市との交渉を続けていくつもりです。(浅川里美、看護師)
高齢者訪問で
西都保健生協
【東京=若色千代通信員発】Bさん(73)は認知症の症状が顕著になり、荷物を忘れたり薬の服用を間違えたり。医療生協の加入も金がないと断り、診療代の数百円も苦しいと言うので、高齢者生活実態調査の際に訪問しました。
Bさんは脳梗塞や狭心症などをかかえ、年金一〇万円でひとり暮らしです。仕事を辞めたとき、年金受給の要件加入期間二五年に七年足りず、年金の掛け金を 払うため車を売り払い、無一文になったそうです。民生委員に「貯金ゼロはまずい」と言われ、わずかな貯金をする貧しい暮らし。
訪問すると、出資金の分割払いで加入してくれました。認知症がすすまないよう関わりを強め、班会にも誘い、民生委員さんとも連絡を取り、生活全般をささえることにしました。
1事例報告
保険証がなくて
一条通病院
【北海道発】当院に糖尿病で通院していたAさん(五〇代男 性)の受診がまばらになりました。病院の連絡で三カ月ぶりに来院したAさんは「体調も悪く受診したいが保険証がない。医療費の支払いが心配」と。Aさんは リストラされる前年まで会社勤めだったため、国保料は月約二万円。雇用保険の月一三万円では国保料が払えませんでした。
旭川市では、長年のとりくみで、保険料の滞納があっても保険証を発行します。それをAさんに説明し、手続きに行ってもらい、無事保険証を手にできました。(鈴木孝枝、SW)
生活保護を
潮江診療所
【高知=上田(あげた)朝香通信員発】四〇代の女性が喘息発作で当診療所に。治療を終え、医師は「毎日点滴に、夜間悪化するなら入院も」と指示しました。
翌日、来院しないため看護師が訪問。本人は不在で、母親が「本人は病院に行くと言って家を出た。お金に大変困っている。保険証がない」と訴えました。当 日は発作がひどく保険証を確認しませんでした。保険料滞納もわかり、再度訪問し、生活保護の受給をすすめました。
「見捨てない」家族の理解で
高齢者福祉施設「虹の家」
【愛媛発】当施設は、築六〇年の旅館を改装し開設した、小規模デイサービスとグループホームです。
入所中のBさんが、ベッドから転落、右大腿骨頚部骨折で即手術という最悪な結果になりました。認知症のあるBさんは、入院で不穏症状が出現、家族に付き 添いの依頼がきました。ところが、Bさんの夫は認知症、息子は仕事、息子の妻も右肩甲板断裂に。介護できなくなった家族の結論は、「よくなっても、また転 倒して骨折するなら、いっそこのまま寝たきりで施設に行った方が…」。
私たちは、Bさんにとって何が幸せかを話し合い、率直に家族に伝えました。すると賛同してくれ、夫が付き添い、早く退院、リハビリ訪問などで努力。Bさ んはまたみんなと楽しく過ごせるようになりました。(高次真理、施設長)
がんばれCさん
在宅総合センター「ひだまり」
【岩手発】Cさん(五〇代男性)は二年前みんなの関わりで生きる気力を取り戻した人です。
タクシー運転手で、高齢のCさんの母親は認知症がすすみ、ある日、彼の留守中に悪徳業者に騙され、次つぎと工事契約を結び多額の借金を抱えました。Cさ んはその苦労で、くも膜下出血に。一命は取りとめましたが、今度は母親の認知症がひどくなり施設入所に。Cさんは、ヘルパー、デイケア、授産所、配食、民 生委員等の応援を受け、努力して家事ができるまでに回復しました。
しかし今後、認定の更新や障害者自立支援法の影響が心配です。身障者手帳四級でも高次機能障害で仕事に就けないCさんを、職員はみんなでささえようと決めました。(井上久美子、看護師)
保険証ない人も
坂本民主診療所
【滋賀発】まちかど健康チェックを毎月実施しています。無保険の方の相談にもつなげています。(坂本昌子、事務)
全県通信特集・1職場1事例
事例を共有*検討
組合員さんに感謝
宮崎民医連
【宮崎発】一二月、当県連初の「困難事例検討会」を開催。組合員を含む五〇人が参加し、一三事業所からの事例を討論しました。
参加者からは「悲惨な事例もあり矛盾を感じた。いろんな部署が関わって助けている事例も多い」「事例では解決したが、相手との信頼関係の重要性を考えさ せられた」「早期に相談に乗り、解決できた事例に学ぶ必要がある。相談しやすい雰囲気づくり、システムづくりが課題」など、感想が出されました。
また、「ボランティアの奮闘に感謝の声が寄せられている。組合員の底力を信頼し投げかけてほしい」という組合員さんの発言にも励まされました。(大田原良治、事務)
力になる職員へ
介護老人保健施設ひだまり
【山形発】一一月「一職場一事例報告検討集会」を行い、一一職場が一二事例を提出し、職員八五人と友の会員四人が参加しました。
療養病棟や介護施設の自己負担増で支払いが困難になった事例や、要支援に変更され福祉用具や利用回数が制限された事例が多数。どの職種も相談に対応でき るよう連携し情勢に関心を持ち、利用者さんの力になる職員をめざそうと合意しました。(金子俊樹、事務)
障害者手当を
山口民医連
【山口発】当県連では、社保平和委員会主催で「社保事例検討会」を毎月二五日に開催しています。最近紹介された事例です。
九七歳の男性。寝たきり状態で、八〇歳の妻が在宅介護しています。市営住宅に二人合わせ月一〇万円弱の年金で生活しています。要介護4で月二回の往診や 週一回の訪問看護を受け、ヘルパー月二回、ベッドもレンタルしています。妻から「費用がかかるので、サービス回数を減らしたい」という言葉が出るほど。生 活保護は「受診や買い物に車は必要だから」と受ける気はありません。SWの勉強会で「特別障害者手当」を聞き、さっそくこの人の適用を段取りしました。受 給が決まり妻から感謝の言葉をいただきました。(菖蒲順一郎、事務)
一職場一事例で
鳥取民医連
【鳥取発】当県連では、九月から一職場一事例運動にとりく み、一一月に県連社保・平和、教育委員会共催で報告集会を開催し、職員八九人が参加しました。 九人が報告し、療養病床の負担増、リハビリ医療の日数制限 などの事例、介護保険改定による困難事例など受療権が脅かされている問題が明らかになりました。「身近なところに経済的問題や制度の後退での困難があると 実感した」「泣き寝入りせず運動にする必要性を学んだ」などの感想がありました。(渡辺友範、事務)
危機乗り切ろう
葵会
【京都発】〇六年、北病院をはじめ法人の経営が急速に悪化。経営改善が「待ったなし」に追い込まれました。経営改善をすすめるにあたり、山梨勤医協や大阪・同仁会などの教訓に学び、「経営改善は、民医連の運動の前進とセットでこそ成しえる」という立場ですすめてきました。
その一つとして「一職場一事例運動」を教育委員会を中心に推進。七月と一〇月に開催し、二月も予定しています。事例発表では、病棟から「接遇を通じ、患 者さんの人権に配慮できているか」、リハスタッフからは「訪問リハを通して利用者の生活を見ていく視点」、事務から「未収金問題は家族からのシグナル」な どの声が出されました。どれも民医連職員として日常業務での患者さんとの関わりを問うものでした。「人権」の感度を高めあえる職場づくりをめざし継続しま す。(松田貴弘、事務)
全職種参加で
和歌山生協病院
【和歌山発】例年の全職種参加型症例検討会を約四〇人の参加で実施。テーマは「高齢者のQOLを考える」でした。
事例は九四歳の女性。誤嚥を繰り返し、骨折での入院をきっかけに胃ろうを造設し退院。入院中から退院後の実践を各職場が報告。
主治医は「入院前はいつも手を合わせて『早よお迎えきてほしい』と言っていたのに退院後はまったく言わない」。ケアマネも「胃に穴なんて、と拒んだ家族が、受け入れた」と報告しました。(前 仁子、事務)
リフォーム詐欺(さぎ)
早く気づけば…
北生協歯科
【愛知発】愛知では、〇七年一月三〇日に県連社保委員長主催で、社保活動交流集会(地方政治問題の学習講演、各法人からの「一職場一事例」報告)を企画しています。それに向けて、北医療生協では「一職場一事例」報告会を一月一九日に開催する準備中です。
歯科では「治療費が支払えない」との高齢者の窓口でのひと言を逃さず、事情を聞いたところ「リフォーム詐欺」に遭い、クレジット会社四社から一二〇〇万 円の多額なローンに苦しんでいました。一人暮らしで、こつこつ貯めた貯金をすべて奪われ、やっと一カ月前に弁護士に相談したと。もっと早く声をかけていれ ばと悔やみました。
高齢者を狙った詐欺が横行し、住民税、国保料、介護保険料も大幅な負担増、やりきれない思いです。引き続き、この事例に関わっていき「困ったときに気軽 に相談できる」事業所、地域づくりをしていきたい、と決意を新たにしました。(小西由晃、事務長)
看護・介護職が困難事例で学習
山梨民医連
【山梨発】県連看護委員会・介護職員研修委員会では、一二月一〇日、介護職員全員を対象に「学ぼう・語ろう・元気になろう」をテーマにトピックス研修会を行いました。
通所系・訪問系・療養病棟系の各職場からケアワーカーたちがまとめた困難事例を発表し、そのあと甲府市地域包括支援センター共立の主任ケアマネジャーの 清水季世子さんから「改定介護保険の行くえ・最後まで安心してをどう支えるか」の講演を受けました。
困難事例をまとめる中で、「本当に困っている人のための介護保険になっていない」「人権感覚を磨かなくては」「事例を政府に届けるべき」「自立支援法につ いてよく分かった」などの感想が出されました。(清水文江、山梨勤医協)
初めてまとめた困難事例
茨城保健生協
【茨城発】茨城民医連では総会方針学習月間に続いて、九月に「一職場一事例」運動にとりくみました。
茨城保健生協の職場では、初めてのとりくみに四苦八苦のすえ、一九職場が事例をまとめ、九月一三日に報告集会を開きました。介護保険の認定が下がり、リ ハビリが打ち切られたケース、年金生活者の経済問題、施設入所が困難な事例、「生活保護」などの社会保障制度の学習、問題を抱えた患者様を訪問し、よく理 解できた、などの報告が行われました。「目の前の患者だけを見ていたのでは何も見えない」と肌で学んだ若手職員の報告も感動的でした。
人権のアンテナを高く掲げ「命の平等」を守る輪を広げる重要性を学びました。(岡部佳代子、事務)
ランチョンセミナー
平和会
【奈良=鎌野葉子通信員発】平和会では、看護大運動の一環として、毎月一回ランチョンセミナーを開いています。
看護師自身が、自分たちの業務をふり返り、看護のすばらしさとやりがいを見いだすとりくみです。労使折半で昼食も出し、毎回参加者は三〇人以上です。全 職場が輪番で事例を持ち寄っています。「糖尿病で燃え尽きさせないために」「在宅のチームアプローチ」などの突っ込んだ検討がされています。
全県通信特集・1職場1事例
利用者7割が減免
特養老人ホームあんきの家細畑
【岐阜=藤井洋志通信員発】昨年四月に開設した特養「あんきの家細畑」では、介護技術の向上に努力しながら、全員が第三七回総会方針、評議員会方針を読了しました。
利用者負担の軽減をめざし、社会福祉法人減免など諸制度を最大限活用しようと、利用者さんとスタッフへ周知徹底をはかりました。その結果、六〇人の入居者のうち約七割の四二人が減免制度を使うことができました。
介護ベッド助成実現
倉敷医療生協
【岡山発】介護ベッドの貸しはがし問題で市と交渉しました。九月議会を前に、当生協のケアマネジャー一三人が介護保険課へ。ベッドがなくなると寝たきりになりかねない事例を、実人数を添え説明。
事実を把握していなかった担当課はその後、市内の全対象者二八〇人の認定調査内容・生活事態・福祉用具の金額を調査。事態の深刻さを感じたようです。
その結果、市では介護ベッドレンタルの現利用者を対象に、一〇月以降のレンタル料助成を決定。
当院へ送られてきた制度要綱のファックス送信時刻は深夜二時でした。予算の工面や作業に努力がうかがえました。制度を提案し行政を動かしたのです。(猶原真弓、玉島協同病院居宅介護支援事業所・SW)
涙が市を動かす
鹿児島医療生協
【鹿児島発】一一月一日、鹿児島市と一八回目の懇談会を行 い、家族会や利用者、職員など五〇人、市議二人、市から六人が参加。介護に関する要望事項を事前に提出。その回答を「国の規定の中でやるしかない」と、 さっと読み上げられた時は失望しました。しかし、参加者が涙で言葉に詰まりながら、事例を紹介すると、会場からはもらい泣きが。すると、福祉事務所長は 「みなさんの話は他人事とは思わない」と話し、介護保険課長も「国の規定の中だが運用や解釈で要望に応えたい」、「市民と協力して国にも働きかける」と回 答しました。課長は懇談会後も会場に残り、看護師やケアマネジャーにアドバイスも。「チェックや実地指導で大変でしょうが、ケアマネジャーは権限があるの で萎縮せず、必要なものはプランに組んで。困ったことは相談を」と。毎年、懇談会を続けた先輩方のおかげです。(川畑たか子、県連事務局)
助成を県に要請
群馬民医連
【群馬発】当県連では、一一月二九日、群馬県に対し、医療・介護・福祉に関する要請を行いました。内容は介護ベッドのレンタル費用・購入費用への助成、医療療養病床に入院する身体障害者・被爆者医療適用者への居住費・食費の助成など四項目。特に低所得者の助成を求めました。
参加者は各事業者の事例をもとに発言。軽度認定者が在宅の生活が困難となる実態、負担増で介護サービスを減らした利用者の「国に切り捨てられる」という 声などを紹介し「実態を把握し、国に意見を」と訴えました。(小川弘巳、事務)
事例を改善運動へ
第2回事例交流集会
福岡・佐賀民医連
【福岡発】一一月二五日、生存権を守る第二回事例運動交流集会を開催しました。「一職場から一事例」を発信し、困難事例を共通の認識に、具体的な改善を勝ち取ろうと企画したものです。
千鳥橋病院SWの荒木さんは、タクシー労働者の生活実態を調査し「規制緩和でタクシー台数が二倍になったのに利用者は横ばい。労働者は病気と生活苦でホームレスになった人もいる」と報告しました。
おさゆき病院SWの森川さんは、税制「改正」で、市県民税が課税となり、入院費が月二万八〇〇〇円の負担増となった高齢者の例などを報告。ベッドのレン タル打ち切りの深刻事例なども報告されました。(武井賢司、事務)
電動ベッド継続に
協同診療所
【広島発】Aさん(66)は要介護1で、病気のため医師か ら布団での寝起きを禁止され、電動ベッドを使用。継続使用の「一定条件」に該当しないため、介護認定の変更を申請しました。区の介護保険課は「電動でなく ても?」と、保険外でと言わんばかり。何度も交渉、三回調査票を書き直し、やっと要介護2に。Aさんは電動ベッドを継続できました。(名越美子、事務)
障害者控除すすめ
相川病院
【大阪発】税制改悪による国保料などの値上げで、吹田市役所に四〇〇〇人が詰めかけました。利用者、友の会員に障害者控除申請を呼びかけ、「介護保険料が安くなる」と二〇人が申請。非課税になった人もいました。(野田雅一、事務)
ケアマネ市を動かす
長崎民医連
【長崎発】花岡診療所は負担から患者さんを守るため全職員 学習会を開催。そこで「市が紙おむつ代補助を六五歳以上にしたため、六三歳のBさんが四月から支給を切られた」とケアマネから悩みが出され、県連の支援で 市担当課長と交渉することに。市は「疾患も介護度も重く経済的にも厳しい例」と認め、前年度受給者に支給を再開。
大浦診療所のケアマネは「ベッドを取り上げられたらCさんは暮らしていけない」と障害者制度の適用を求めて運動(障害者手帳一級二級にベッド給付す る)。共産党市議とともに市の担当と交渉を重ねた結果、「一〇月から市の決裁で給付」されることになりました。(山崎倉俊、事務)
有料化を戻させる
大師公園前訪問看護ST
【神奈川】川崎市は、生活保護を受けている認知症高齢者や知的障害者に対する「金銭管理サービス」を〇六年四月、無料から二五〇〇円にしました。市が国の補助制度を使わなくなったためで、一八三人いた制度利用者中、一〇人が四月から利用を止めました。
Dさんの「とても払えない、死んでしまう」の訴えで、川崎市社保協に相談しました。川崎市と三回、厚労省と二回、区保護課と三回交渉した結果、〇六年六月に、四月に遡って有料化を取りやめさせました。
生活保護者への差別意識を増長させ、社会保障・福祉を衰退させる川崎市の姿勢は許しがたく、全国への波及を阻止できたことは大きな成果でした。(海老原香織、看護師)
(民医連新聞 第1395号 2007年1月1日)