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民医連新聞

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共同組織強化月間 住民ささえ職場守りたい 力出しあい友の会大きく 千葉健生病院

 共同組織強化月間がスタートし、各地から「セーノ週間」などのがんばりが報告されています。仲間増やしをはじめ、『元気』増やし、担い手や 班づくり、高齢者生活実態調査も本格化。月間をやり抜くカギは、多くの職員の参加です。千葉・健生病院の職員たちも「日常業務が忙しい中、どうしたら全員 が足を踏み出せるか」、知恵をしぼりながら奮闘中です。同院の栄養科では長い間の地道な努力で、友の会活動を職場に根づかせてきました。どの職場でも、条 件を生かし、工夫して可能な方法を見つけ、「一職員一回以上の活動参加を」と目標達成をめざしています。(小林裕子記者)

●新しい患者さんに必ず声かけ

 「加入してもらえたよ」。小寺敬子さん(調理師)の弾んだ声が厨房に響きました。食器をかたづけていた同僚たちと、「よかったね」「健康まつりの協賛金もいただいたのよ」「ありがたいね」と喜び合いました。

 栄養科では、新しい患者さんが入院すると、お膳に友の会の案内を乗せることにしています。その後三日以内に病室 を訪問し、入会をすすめます。病棟に行くのは毎日の業務で、食事を残したり、特殊な食事の患者さんから意見や好みを聴くため。そのとき、入会の案内書、署 名用紙、友の会ニュースを携えて行きます。
 この日、小寺さんが訪室した男性患者さんは、「うどんは食べられない。生でない野菜を」と希望し、友の会入会は二つ返事でした。もう一人の患者さんも入 会を約束。「ここの食事は病院食らしくない」とほめてくれました。

●科で2班を担当 毎月班会

 栄養科(職員数一〇人)は、友の会の班を二つ担当しています。この九年間、毎月班会ができるよう講師や相談役として関わってきました。いまでは会員さんが自主性を発揮し、班会メニューも充実しています。
 班の一つは、小寺さんが「自分の住む地域に友の会の班をつくりたい」と同僚に相談し、生まれた「あやめ班」です。九年前、母の介護のために、病院から一 時間かかるところに転居。「もし退職するような場合、友の会と関わりが途切れたら惜しい」と思い、地域で仲間づくりをしました。会員は八〇人ほどになり、 遠方でも健診に来てくれる人もいます。
 別の「すみれ班」を担当する高橋聡志さん(栄養士)にとっても、友の会活動はあたり前のことです。「地域の人は敏感。医療の負担増もよく知っていて、署 名もがんばっている」。古い県営住宅にあり高齢者の多い「すみれ班」では、生活や悩みの相談も出ます。「食事が作れなくなった」会員さんに、友の会ボラン ティアの協力で実施している配食サービスの手配もします。
 今年度もう一つ新しい班をつくる予定で、職員が分担します。

●医療と職場を守りたい

 友の会活動になぜ力を入れてきたか、栄養科長の古瀬直子さん(管理栄養士)は話します。
 「このところ診療報酬の削減が続き、医療全体が大変になっています。中でも栄養科は職場がなくなってしまいかねない危機です。二〇年くらい前、潰されな いためには、勉強して、世の中を変える力をつけなければ、と強く感じて以来、民医連の課題を総合的に担える職場の気風をつくろう、若い職員を育てよう、と 必死でした」。朝礼・職場会議で、社保・平和・友の会の活動について欠かさず話題にし、率先して行動する雰囲気をつくったそうです。

●全員が参加できる工夫を

 友の会担当の事務次長・小西ひで子さんは「栄養科は良い典型。参考にして全職場の活動参加をすすめたい」と考えています。
 同院では、月間の旗ふり役は「院内大運動推進委員会」です。方針に「月間中に全職員が一回は班会・講師活動などで地域に出ること」を掲げました。厳しい 看護職場ではどうするか。師長会は、活動に出る時間を勤務表に組む、という方針を確認し、八月から実施に移しました。診療放射線の職場は、「ベテラン技師 が先頭に立とう」と決めました。未加入者の多い一般外来で、毎日声かけし、コツコツと増やしている医師もいます。
 こうした動きを広げるために、小西さん自身は、全部の職場を回り、「何をどう援助したら足を踏み出せるか? 何がやりたいか?」、職員の率直な思いを聴 き、「あなたも加入して『元気』を読んで」と職員にまず訴えたいと考えています。
 同院の月間は一〇~一二月。仲間増やしの目標は八〇〇世帯、職員と友の会が半数ずつです。新班づくりも四つ。いま約九三〇〇世帯の会員中、ニュースの手 配りは約七〇〇〇世帯、協力者が約三〇〇人です。
 友の会の方も月間体制に。待合室の「友の会コーナー」を強化、会員や手配り協力者を毎日、増やしています。七五歳以上の会員さん対象の「お元気ですか訪 問」もやりきる構えです。今年の目標は二〇〇件。孤独死を防ごうと六年前から始め、困り事はすぐ病院のSWにつなげています。いま話題になるのは年金・税 金のこと。
 職員もまもなく全日本民医連の高齢者生活実態調査に取りかかります。

(民医連新聞 第1390号 2006年10月16日)