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民医連新聞

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9条は宝 発言(17) イラク戦争、日本で報道されない事実 生活の根底には憲法が「自分で考える」を大切に

 イラク戦争をきっかけに憲法九条を考えるようになった青年は少なくありません。六月に東京で行われた「九条の会」全国交流集会に参加した 「岡山医療生協九条の会」の二人の青年職員もそうです。戦争という現実に衝撃を受け、学習し、今は仲間の青年職員に「会」への入会を呼びかけます。

イラク戦争、日本で報道されない事実
森川 由香さん

 大学時代から、アメリカの『TIME』誌を読んでいます。そこには、日本の報道にはない、生なましい情報があり ます。強く印象に残っているのは、イラクの子どもが出稼ぎから帰り、米軍に爆撃された家で、血を流している家族を呆然と見ている記事です。「世界ではこん なことが起こっているのか」、戦争は現在進行形であることを実感しました。
 仕事に就いてからも憲法や平和を意識していませんでしたが、署名や学習会などで平和を深く考えるようになり、「会」に参加しました。
 平和こそ、ごく自然な人間本来の生き方です。生まれながらに戦争を好む人はいません。憲法九条は、日本にとって宝物です。
 同じ組織の中でも温度差はあります。特に看護師さんは忙しく、なかなか活動や学習会に参加できない現状もあります。参加できる一部の人だけが活動するの ではなく、みんなが平等に参加できるよう体制を整えていくことも大切だと思います。
 若い職員さんを引っぱっていけるよう学習を重ね、医療の底上げにもつなげていきたい。

森川由香(もりかわゆか)さん(事務)
 1974年、岡山県生まれ。神戸学院大学卒業後、「病院で患者さんに接し、役に立ちたい」と、岡山医療生協へ入職。


生活の根底には憲法が「自分で考える」を大切に
磯本 真希子さん

 小さいころから祖父母の戦争体験を聞いたり、学校で平和を題材にした映画を観ていました。「日本は憲法で守られている」、そう感じていました。
 しかし、強く意識していたわけではなく、デモ行進や署名活動などにも、とまどいがありました。そんな中で職場の社保委員になり、ランチミーティングや学習会にも参加するようになりました。
 学習会などで知ったイラク戦争の実状は、衝撃的でした。そんな戦争に日本も加担しているなんて…。しかもテレビでは正しく報道されていません。
 それまでは、他人事のように思っていました。しかし、イラク戦争をきっかけに、憲法が私たちの生活の根底にあることに気づき、「一人の命を真剣に考えられるSWになりたい」と強く思いました。
 社保委員会でも「ワンパターンではなく、私たち自身も参加してよかったと思える活動を、青年職員に知ってもらおう」と話し合っています。押しつけの学習 ではなく、お互いの意見を聞きあいながら、学んでいくことが必要だと思います。
 平和に安心して暮らせる社会には九条だけではなく、二五条も大切です。岡山には『朝日訴訟』という素晴らしい教材があります。響くものがあれば青年職員は自ら勉強し、変わります。
 自ら考えることを大切にして、みんなで学習し、考えていける職場にしていきたいと思います。

磯本真希子(いそもとまきこ)さん(SW)
 1981年、岡山県生まれ。龍谷大学卒業後、「ソーシャルワーカー(SW)としてがんばりたい」と、岡山医療生協へ入職。
 「岡山医療生協九条の会」は、2005年4月2日に職員や共同組織などから約70人が参加して結成され、学習会も積極的に行っています。6月23日に は、作家・翻訳家で『もし世界が100人の村だったら』の池田香代子さんを講師に招いた憲法学習会も行い、250人が参加しました。
 その他、労働組合主催の九条学習会には職員400人が参加。青年職員が企画した靖国神社ツアーなど、労働組合や地域とも共同行動し、青年職員との自主的な運動をすすめています。

(民医連新聞 第1386号 2006年8月21日)