連載 安全・安心の医療をもとめて(51) 山形・鶴岡協立病院 留意点をしっかり確認小児の点滴固定法
最近、小児患者さんの点滴漏れ事故が報告されました。小児患者の事故を未然に防ぐ対策の一つとして、点滴固定法を再確認する必要があります。鶴岡協立病院の石川充医師の報告です。
小児の点滴固定法の留意点がいくつかあります。血行の確認のために指先は必ず見えるようにしておくこと。スタッ フや家族が、点滴中の異常にすばやく気づけるように全体を包帯で覆わないこと。固定の際に良肢位を保ち、親指を自由にすることで、遊び、食事、指しゃぶり を可能にすること、です。
図に沿って説明します。図1のようにカットした粘着テープ(A~B、D~I)とシーネ(C)を用意します。
粘着テープは、幅七五ミリのテープを縦半分に切って使用しています。Gには、三分の二ぐらい切り込みを入れます。シーネ(C)の長さは、指先が出ず、かつ肘(ひじ)関節を越えない長さで、子どもの体格に合わせます。
図2のようにAの粘着部を上向き、Bの粘着部を下向きにして、留置針をはさみます。そうするとDで固定しやすくできます。また、留置針の接続部で皮膚が傷つくのを予防できます。
図3のようにD、E、Fの三点でシーネを固定し、関節の動きを抑制します。患者さんがテーブルやベッドの上で手をつくと、Fが伸びてしまうことがよくあります。手関節が動くことにより留置針がずれ、血管炎が起こりやすいため、テープを適宜貼りかえます。
図4は、引っぱった時に留置針を抜けにくくするため、Gで接続部とエクステンションチューブを固定します。その際には、逆流によるルートのつまりを防ぐため、接続部を見えるようにしておきます。
エクステンションチューブでループを一~二回つくり、留置針を浮かせます。それにより、皮膚の損傷を防ぎ、カテーテルが折れにくくなります。
図5のようにルートが引っぱられた時に直接、刺入部に力が加わらないよう、ルートにゆとりを持たせ、Iのように固定します。
この固定法を実施していますが、一週間程度の入院では、年間を通してほとんどトラブルはありません。
(民医連新聞 第1386号 2006年8月21日)
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