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民医連新聞

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フォーカス 医療・福祉の実践(5) 電子カルテ導入を機に積極的なカルテ開示システム 広島共立病院 診療情報管理課

 広島共立病院では、医療生協の「患者の権利章典」にもとづき、カルテ開示を積極的に行っています。電子カルテの導入を機に、「カルテCD―R」を作製し、患者様が自分の診療情報を見るための「患者専用端末」を設置しました。診療情報管理課の清水英俊さんの報告です。

 当院では、「闘病の主体者は患者様であり、積極的に治療に参加してもらおう」と、全職員で意思統一し、カルテ開 示を含めた情報公開を実施しています。一九九五年からは、循環器疾患の患者様などを対象に「私の健康カルテ」を導入し、血液検査や血圧を書いて渡していま す。二〇〇〇年には「診療記録の開示」を宣言、〇一年からはベッドサイドに入院カルテを置き、いつでも患者様が治療経過を確認できるようにしました。

 〇三年、電子カルテの導入で、情報公開の革新も必要になりました。医師がパソコン画面を患者様に見せて説明し、 検査結果を手渡すことができるようになりました。一方、ベッドサイドから紙カルテがなくなりました。これまでどおり情報提供するには、どうすればいいか議 論しました。

 電子カルテでは、診療記録をデジタル化します。その特性を活かし、新しく二つのシステム「カルテCD―R」と「患者専用端末」を開発しました。

IDやパスワードの入力もマウスで操作します

IDやパスワードの入力もマウスで操作します

知る・決定する権利を保証する

 カルテCD―Rは、診療内容を自宅で見るため、暗号化してCD―Rに入れたものです。希望する患者様に担当医の了承を得て、診療情報管理課で作成、手渡しています。

 カルテを閲覧できる患者専用端末は外来に一台、病棟に三台設置しました。これで電子カルテと同じものを見ることができます。プライバシーへの配慮も検討し、外来には囲いを、病棟には専用ブースを設けました。

 端末の利用は、セキュリティ管理のため、申請のあった患者様に限定しています。やはり担当医の了承とパスワード が必要です。操作は不慣れな患者様でも使えるよう、マウスだけで行えるようにしました。画面も分かりやすくなるよう、医師や看護師、レントゲンの絵のボタ ンをクリックすれば、診療情報、看護記録、検査結果の画面が出るようにしました。

 利用した患者様のアンケートでは、「専門用語が多く、分からない」という意見が多数あり、専門用語を一般的な表現に変換できる辞書を電子カルテに追加しました。医師にも「患者様が見てわかるカルテの書き方」をお願いし、少しずつですが改善してきています。

 端末の稼働状況は、〇五年五月からの半年で一二九件。まだまだ少ないですが、以前の「診療記録の開示」に比べ、圧倒的に多数であり、有位性がわかります。患者様が確認することによって、基本情報の間違いに気づくことができ、修正できたという経験もありました。

 電子カルテだから可能になった患者様との情報の共有が、知る権利、決定する権利の保障をすすめます。このシステムが「共同の営み」を推進し、医療参加の促進につながることを期待しています。

絵のついたボタンを押すと、診療記録が出ます

絵のついたボタンを押すと、診療記録が出ます

(民医連新聞 第1385号 2006年8月7日)