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民医連新聞

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記者の駆け歩きレポート(5) 「ほっとする時間」を リハ職員の手作り人形劇団 北海道・「いっぷく一座」

 北海道に、若い女性リハビリ技師たちがつくる人形劇団があります。その「いっぷく一座」が、勤医協北区病院の「第二三回北区健康まつり」で 上演すると聞き、出かけました。大きな人形の大きな身ぶり。リハ技師が高齢者向けに工夫した劇は、子どもにも大受け。公演を通し、職員間の交流も生まれて います。(小林裕子記者)

 「おらが一番恐いのは小判じゃ」、「じゃ、こうしてやる」…、人形に子どもたちの目が吸い寄せられます。本日の 出し物は「たのきゅう」。とんち者の若者が大蛇を退治し、お金持ちになる話です。黒い衣装に身を包み、人形を動かす丸山史子さん(座長)、高木希さん、津 川優子さん。拍手のなか退場してきた三人に、「ありがとう」と駈け寄ったのは、健康まつりの実行委員長・福原正和医師(ぽぷらクリニック院長)です。「北 海道民医連新聞」を見て、いっぷく一座の出番をつくりました。

 「子どもには難しかったかな」「小判って知ってるかしら」。子ども向けの公演は初めてです。公演の機会を喜びな がらも「高齢者にこだわっている」という彼女たちに、福原医師は、通りかかったデイケアの担当看護師を紹介しました。「では、来月の土曜日から…」と、 さっそくデイケアで公演する話がまとまりました。

自然な感情を出してほしい

 「いっぷく一座」の名前には、入院患者さんの闘病や単調な生活をなぐさめる「ほっとする時間を」の意味を込めた そうです。始まりは札幌丘珠(おかだま)病院の一昨年の秋まつり。リハ職員一〇人で人形劇をしました。好評だったので、発案者の丸山さんは、「よし、続け よう」と仲間を募りました。三人が集まり、後に四人に。津川さんが中央病院に異動した後も、時間を調整して集まり、デイケアなどで公演しています。

 いっぷく一座の特徴は、人形が大きく、セリフが分かりやすく、動作が大きいこと。演目は「貧乏神と福の神」「絵 姿女房」など、懐かしい昔話が喜ばれます。「楽しみながら喜怒哀楽の感情を自然に出してもらいたい」という三人。実際、「貧乏でもいいじゃない。幸せなら ば」のセリフに、涙ぐむ患者さんもいます。

 得意を生かし、すべて手作りしています。津川さんは脚本係。『日本昔話』をネタ本にセリフを考えます。登場人物 に語らせ、観客の集中力が続く一五分にまとめます。丸山さんは人形製作が担当で本体を製作します。衣装と小道具は高村さんが担当しています。仕事の後の練 習では、リハ室の鏡で人形の動かし方も研究します。

 リハ技師になって四~五年目の彼女たちには「治療や回復に役立たせたい」という思いがあります。「人形に触ってもらい、対話したらいいかも」「集団療法に使えるかな」「リハ効果を評価するには…」など、イメージを膨らませます。

 活動費や休暇取得に苦労がありますが「劇団の実力をつけたい」「チャンスがあれば勤医協だけでなく北海道中、全国にもいきたい」とアピールします。

*    *

 屋外舞台から入院患者さんのコーラスが響きました。毎日、身体を動かし声を出す練習をしたそうです。若い放射線技師たちもポップスを披露。友の会の出し物が続き、迫力あるよさこいソーランが始まると、参加者は一五〇〇人に。

 福原実行委員長は「署名もがんばったけれど、医療改悪され療養病床もたいへん。正直なところ職員は参っていた。だからこそ元気になるための企画を大切にしたい」と、しみじみ語りました。

(民医連新聞 第1385号 2006年8月7日)