連載 安全・安心の医療をもとめて(50) 高知生協病院 外来の化学療法(点滴)患者様の参加で安全に
高知生協病院の外来ではケモ(化学療法)チームを立ち上げ、化学療法(抗がん剤の点滴)を受ける患者様に、自宅での体調を記入してもらう シートを導入。患者様の面接もていねいにし、安全性やQOLに気を配っています。そのとりくみからクリニカルパスも導入しました。梶原和看護師長に聞きま した。
当院では三年ほど前から、外来で化学療法を実施する患者様が増えてきました。主には、がんの切除手術を終えた患者様で、多いときには週に八人、平均では三人です。
そこで二年前にケモチームを立ち上げました。まずはフローシートをはじめ、個人ファイルの作成にとりくみまし た。メンバーは、外科と内科の看護師各一人に外来の主任看護師を加えた三人です。課題は、化学療法を安全に行うこと、患者様のQOLを保つこと、看護師な ら誰でも担当できるよう情報を整理し、統一した方法にすること、でした。一年前からクリニカルパスにもとりくみ、今のシステムができあがりました。
患者様の自宅での状態も把握
化学療法は、患者様ごと・疾患ごとに使用薬品も用量も異なります。安全で確実な実施に必要なチェック項目を検討し、シートを更新しました。
また、患者様のQOLを損なう事態を早めに発見して対処することが必要です。それには患者様の状態を点滴中・その前後はもちろん、自宅にいるときも含めて把握することが大切です。そこで、患者様に自宅での様子を「個人状態記入表」に書き込んで来てもらうようにしました。
さらに、約一時間以上かかる点滴中に患者様との面談を行います。専用のスペース(部屋)で、担当看護師が様子を 観察しながら、落ちついて話を聴き、「面談記録用紙」に記入します。問題に気づいたときは、カンファレンスにつなぎます。その提起も「ケモチーム」が行い ます。患者様はだんだんに悩みなども話し、素直な表情も出すようになっています。
これら「面談記録用紙」や各シートは「個人ファイル」にまとめ、カルテと併用しています。
パスはこれまで二〇人の患者様について実施しました。患者様用のシートを「口で言うから」と書かなかった方は一人でした。
パス導入により、安全性と患者様の安心感を高めることができたと考えています。患者様の細かい情報もスタッフ間で共有できるようになりました。
面接は、患者様の精神的な面、病気の受け止めなどが把握できます。問題点をカンファレンスにつなげ、具体的な援助ができるようになりました。
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患者様自身が自宅で様子を記入、受診時に持参する |
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(民医連新聞 第1384号 2006年7月17日)