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民医連新聞

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記者の駆け歩きレポート(2) 長崎・大浦診療所 中断対策は全職員で1人が1日に1本の電話

「職員一人が一日に一件、中断患者さんに電話して、近況を聞き、再受診につなげようという活動」を一(いち)一(いち)一(いち)運動と名づけて 全職員でとりくんでいる、という大浦診療所を訪ねました。診療所は路面電車の電停前にあり、グループホームや、ヘルパーステーション、デイサービスなども ある総合診療所です。被爆者や高齢者、労働者のかかりやすさをめざしています。宮崎佳代子看護師長に聞きました。(横山 健記者)

全職員のとりくみ

 一一一運動は、二〇〇三年一二月からはじめました。たび重なる医療制度の改悪、被爆者や地域の高齢化で、患者さ んは減少傾向にありました。全職員で「魅力ある外来づくり」について議論し、より地域に根ざした診療所をめざそう、中断対策に本腰でとりくもうとはじめた ものです。

 開始にあたっては、慢性疾患管理の意義やカルテの見方など全職員を対象に学習を重ねました。慢管・健診委員会 が、とりくみを統括し、所内日報「まっしぐら」を発行して、気になる事例や職員の奮闘ぶりを紹介していきました。カルテを点検することで、日常の医療活 動・看護活動が検証されるという思わぬ副産物も生まれました。

 一一一運動をはじめたら、たまっていた中断カルテは三カ月で一掃されました。現在では、電話かけも一〇日以内で月づきの中断分が終了するようになりました。すっかり職員にもこの運動が定着してきました。

 電話が通じない場合は、ミニレターの郵送、近いお宅には訪問、働いている患者さんには、夜間診療の時間に電話か けと工夫して中断対策をしています。一一一運動を中心とした中断対策の結果、再受診は約四割にのぼっています。やはりミニレターより電話で直接会話した患 者さんのほうが再受診に来られるようです。

職員の意識にも変化が…

 「気になる患者さん」は、地域訪問に結びつけ、週一回、看護師と他職種のペアで訪問をすすめています。

 ある日、物療科の職員が「そういえばAさん(80)を見かけない」と気づき、調べてみると一カ月ほど中断でし た。電話すると娘さんが出て、「診療所に行く途中で事故にあって入院中です。そこまで心配してくれるんですか」と感謝されました。「職員の意識も変わって きました」と宮崎師長は話します。

何でも話せる関係を

 「去年行った中断アンケート調査では、受診のさまたげの一番に『経済的なこと』をあげる人が、二年前の同様のア ンケートから二倍に増えていました」と、國(くに)貞(さだ)由美子事務長。「次の診察を案内しても『また今度…』という患者さんには、経済的に苦しい人 もいるようです。電話だけでは、なかなかそこまでは話してくれません。中断や受診できない患者さんを往診や訪問につなげ、何でも話せる関係をつくりたい」 と、一一一運動の今後の課題を語りました。

(民医連新聞 第1379号 2006年5月1日)