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民医連新聞

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連載 安全・安心の医療をもとめて(47)医局で医療安全アピールヒヤリハット検討し、改善 兵庫・東神戸病院

 東神戸病院(一六六床)では、医師たちが医局アピールを発表し、積極的に医療安全の問題にとりくむことを宣言。月一回の医局会でアクシデント・インシデント報告の検討を続けています。遠山治彦医師からの報告です。

 当院の安全委員会と連携しながら、「医局が安全・安心、信頼の医療の中心になろう」というものです。二〇〇三年七月、「『私たちはより安全・安心の医療を目指します』医局アピール」を医局会で確認しました。

 まず医局会で、アクシデント・インシデントの討議を行うことで「安全問題」の意識が高まりました。その後、医師 からのアクシデント・インシデント報告は飛躍的に増加、日常診療の中にひそむ小さなヒヤリハットの発見につながりました。今日ではアクシデント・インシデ ント報告を記載することは、恥ずべきことではなく、医療の質を改善していく重要な宝だという認識が医師集団に根づきつつあります。

医局でのとりくみ

 医局会の検討は、診断や処置、インフォームドコンセントや医師間・他職種とのコミュニケーションの問題など多岐 にわたります。「縫合不全」など、ある一定の確率で起こる合併症は、当院での発症率を把握することが必要であり、CVCなど多くの医師がかかわる事故につ いては、マニュアル作成が必要だと考えています。コミュニケーションの課題は、実は「安全の医療」のうえではもっとも重要なことと認識しています。

 また、二〇〇四年五月からは、腰椎・覆水穿刺やCVラインなどを対象にしたベッドサイド手技報告書も作成しました。重大な合併症がある場合は、アクシデント・インシデント報告書も書くことをルールとしました。

 それと平行して、「EDチューブ挿入」などの手技マニュアルも医局で見直しました。

 議題が増えるにつれ、医局会だけでは時間が足りなくなりました。そこで、「安全問題」を討議する「長時間医局 会」を年二回開催することになりました。そこには看護師長、安全委員会のメンバーも出席し、約三〇人で次の四点を重点的に議論します。(一)半年間のアク シデント・インシデント報告のまとめと分析、(二)重大症例の検討、(三)各マニュアルの提案と確認、見直し、(四)ベッドサイド手技のマニュアルの確 認、です。

とりくみの成果

 これらにより、医師の「安全医療」への意識の変化していきました。

 医師たちが経験したアクシデント・インシデント報告をもとに討論することや、定期的に集まることは、一定の努力 が必要です。しかし、医局全体で問題と経験を共有し、改善にすることはとても重要です。また合併症の実態把握、検査や各種マニュアルなどの見直しができた ことも、大きな成果でした。

 医療の中心をになう医師集団が真剣に向き合うことが、医療の質をあげることだと確信しています。

(民医連新聞 第1378号 2006年4月17日)