連載 安全・安心の医療をもとめて(44) 岡山・玉島協同病院
患者様が書く「ヒヤリハット」カード報告
患者さんにも医療事故防止の活動に参加してもらい、改善に結びつけている事業所があります。岡山・玉島協同病院です。同院の看護師長、河原栄子さんからとりくみの報告が寄せられました。
倉敷医療生協は、二〇〇三年にISO9001:2000を取得しました。当院は医療安全委員会を中心に、品質目標に安全・安心の医療を掲げ、医療事故防止活動にとりくんできました。
活動への参加呼びかける案内、カードを作成
当院では以前から、患者様の間違いや検体の取り違いを防ぐため、患者様に診察や検査のときなどに名前を名乗ってもらっています。
医療安全委員会ではさらに、患者様とともに医療活動をすすめる「患者の権利章典」を実践しようと、「患者参加の医療事故防止・院内感染対策」を今年度の目標にしました。そのなかで、患者様に直接声を届けてもらうようなとりくみをしよう、という意見が出ました。
そこで、患者様に医療事故防止活動への参加を呼びかける案内書(左)と、患者様が病院で体験したヒヤリハットを投書してもらう「ふれあいカード」(左下)を作りました。作成に当たっては、二〇〇五年二月の『看護』に掲載された他院の書式を参考にしました。
寄せられた声を改善に結びつけ
七月から、患者様の入院の際に病棟師長が面談し、活動への参加をお願いし、案内書と「ふれあいカード」を渡しています。カードにはヒヤリハットだけでなく、事故を防ぐ具体的な提案なども記入してもらえるようにしています。
これまでに五件のカードが寄せられました。その一件は、患者様がベットから移動した時に使用した、携帯酸素ボン ベの酸素流量を間違った、というケースでした。すぐに医療安全委員会が院内パトロールをし、酸素使用手順をチェックしました。その結果、患者様が移動する 時の手順書が必要だと分かり、看護部が手順書を作成しました。また、患者様といっしょに流量を確認するよう、改善しました。
患者様が退院する前にも、できる限り面談をして直接意見を聞く努力をしています。「ふれあいカードを書いておいたよ」と、声をかけられたこともありました。
患者様参加の医療事故防止活動は少しずつ定着しています。このとりくみをさらにすすめ、職員の安全意識も引き上げていかなければならないと考えています。
(民医連新聞 第1370号 2005年12月19日)