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民医連新聞

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あなたの職場におジャマしま~す(20) 香川・医学生担当者 「民医連とは」を深く語れる医学対めざす

 香川民医連の医学生担当者(略・医学対)は、二人の若い女性です。「電柱よりうどん屋が多い」といわれる香川で、医学生の関心をひく話題や とりくみを探し、民医連を理解し、共同組織ともふれ合えるフィールドを準備するなど、日々努力しています。月一回定例の奨学生会議におジャマし、医学対の 苦労とやりがいを語ってもらいました。(横山 健記者)

 香川大学には奨学生が一四人。うち三人が香川民医連の奨学生です。医学生担当者の末澤理恵さん(医学対歴五年)は、高松平和病院で医学生実習や高校生医 師体験を担当。溝口詠子さん(歴二年)は、香川大学医学部から歩いてすぐの三木分室で、学生さんの相談やランチタイムミーティングを担当しています。

アスベスト問題にとりくんで

 高松平和病院のケースワーカーがアスベスト問題にとりくんでいると聞き、ひらめいた二人。中低学年の奨学生を増 やす医学生大運動の真っ最中でもあり、「ぜひ、医学生のフィールドワークに」と県連事務局長に持ちかけました。そこで「全面的にバックアップする」との了 解を取りつけ、二人は香川民医連アスベスト問題対策会議に参加し、「学生さんに何を知らせるのか、参加できる日はいつか」を相談。訪問調査の前に学生向け にアスベスト学習会も開きました。

 元石綿工場労働者宅の訪問調査では、「ニュースで知って心配」、「石綿の危険性は知らされてなかった。悔しい」 という意見だけではなく、「しかたない」というあきらめの声も聞きました。また、香川でも作業服に着いたアスベストを吸った家族にも影響が出ていることが 判明しました。

 奨学生会議でアスベストについてさらに学習することにしました。参加した学生は九人。夫をアスベストによる労災で亡くした妻、夫を診察した藤原高明医師(高松平和病院長)、労災認定に関わったケースワーカー、研修医などにも参加を呼びかけました。

 「夫は粉じんが舞い上がり、一メートル先も見えないところで働いていた」と、妻は夫の労働環境や労災認定までの 苦労を語りました。藤原医師も「遺族を雇うことで訴えられないようにしているケースもある。医学知識や技術を誰のために使うか、患者さまの生活背景をどう 見るのか、学生時代から生き方と重ねて考えて」と、まとめました。

 組合員さんにつくってもらった食事やディスカッションを通し、初参加の奨学生もすぐにうちとけました。「問題意 識を共有することで学生同士が刺激しあい、つながりが深まります。学生は学生の中で成長しますね。これからも積極的に参加を呼びかけていきたい」と、二人 は声をそろえました。

いっしょにがんばろう

 医学生さんは実習やフィールドワークを通して、人として、研修医として、一人の医師として成長していきます。そ れを実感できるのが医学生担当者のやりがいであり、醍醐味(だいごみ)です。現在、四年目を迎えた女性医師がいます。彼女が六年生のとき、「大病院での研 修も考えている」と末澤さんに相談しました。すぐに先輩女性医師とともに面談。「香川でいっしょにがんばろう」と、ここで研修する意味を語り合いました。 今では何でも相談できる関係です。

 高松平和病院は救急に特化した病院でもなく、大病院志向の医学生は引きつけにくく、新卒医師獲得には苦労もあります。しかし、地道な地域医療活動には誇りを持っています。

 医学生実習の受け入れも盛んです。しかし、実習が決意につながらないことも多く、反省と研究の日々です。実習で感じてもらった私たちの医療に対する姿勢が、いつか香川全体の医療の発展につながるかもしれないと、自分たちを励ましています。

 「これからは中低学年からのつながりをさらに大切にし、アスベストをはじめ社会問題にいっしょにとりくみながら、民医連を深く語れる医学対活動を続けていきたい」と語りました。

(民医連新聞 第1369号 2005年12月5日)