【談話】問題だらけの厚労省「医療制度改革試案」
厚生労働省が一〇月一九日公表した「医療制度構造改革試案」について、全日本民医連の長瀬文雄事務局長は、以下のような談話を発表し「国民皆保険制度の根幹を崩すもの」と批判しました。
「試案」には、高齢者の医療費負担を現行の一~二割から二~三割にする、七五歳以上から年間七万円もの保険料を徴収する、入院の食費・居住費を全額自己 負担にする、高額療養費の負担限度を引き上げるなど、新たな負担が盛り込まれ、負担増は数兆円にものぼります。
保険免責制度の導入は、カゼなど軽い病気の受診を制限するものです。
また医療費適正化計画を都道府県に作成させ、適正化の達成度に応じて都道府県単位で特例的な診療報酬を設定させるなどとしており、医師不足など今でさえ 医療格差がある中で、住むところによって負担が異なるなど、あらたな矛盾を生みます。
経済指標に基づく医療費の抑制目標を掲げることは、安全・安心の医療とは相容れません。わが国の医療費がGDP比でOECD加盟国三〇カ国中一七位とい う低い水準であり、医師数が二八位、看護師数一九位という現状こそ改善すべきです。
同時に憲法二五条に掲げられた国民の生存権を保障する責務を国が果たすこと、国際的に見て少ない大企業の社会保障負担を引き上げ、高額な薬価や医療機 器・材料を見直すよう求めます。私たちは、問題の多い「医療制度改革試案」に反対する運動をひろげます。
(民医連新聞 第1367号 2005年11月7日)