9条は宝 発言(8) 「召集令状」が届いたら?驚きのアンケート結果に
今回は、鹿児島の医師です。県連職員を対象に「戦争と医療」に関するアンケート(回答八三七人)を取りまとめた実行委員の一人です。
私は召集令状が来ても戦争に行きたくないですね。結果をまとめたポスターを作りながら、「逃げる方法はあるかな」と考えてましたよ。私にとって九条は、変えずに今のまま守っていくものだと思っています。
県連交流集会のテーマが「有事と平和と私たちの医療」でした。それで「われわれの平和に対する意識はどうなの か?」調べることにしました。ちょうどイラク戦争が始まった時期であり、「身近にイラク派遣に関わった人はいますか?」、「それは国際貢献になるか?」、 「万が一、自分に召集令状が届いたらどうしますか?」という質問を入れました。
「行きたくないが、行かなければならいと思う」と答えた人が四割以上。若い職員ほどですよ。「行く」と「行かなければならない」の回答で半数を超えてしまうんですね。
批判的にものごとを見ていくことを学んできましたが、「うまく伝わっていない」と強く感じました。
鹿児島という土地柄もあるかもしれませんね。行かないと親戚に迷惑がかかるんじゃないか、周りから何かいわれるんじゃないか、と考える人もいるかもしれませんね。
テレビが情報源に
マスコミの影響がかなり大きいのではないでしょうか。「戦争と平和を考える情報源」が圧倒的にテレビなんですね。テレビは決して正確な情報源じゃない。
「自衛隊があるから、軍隊にして国際貢献してもいいのでは」という意見もあります。しかし、国際貢献は平和的に行う原則をきちんと堅持すべきです。軍隊を外国へ出してはそうならない。よくありませんね。
今回のアンケートは昨年のものです。現在のイラク情勢については誰にも本当のことは分かりにくいだろうなと思います。流れている情報は正確とはいえず、現地がどんなに厳しいかは報道されていませんからね。
情報源を「民医連のパンフ」とした答えが全然なかった。「読むのが当然」と思って、パンフレットを渡すだけ、 「行動すれば分かる」考え方ではダメなんじゃないか。平和の意識を育てるには、企画のつくり方から勉強していかなければならない、もっと日常的に話し合っ ていかないといけないと思いました。病院として活動をうまくつくりきれていない。それが実行委員会の結論でした。
日常的に話し合いを
日常業務に追われ、生活の中で平和を考えることが難しくなっています。大きい病院ほどです。
病院の看護師さんは企画に参加することもだんだん厳しくなっています。研修医には位置づけて原水爆禁止世界大会 や平和行進の代表になってもらってますが、「休みの日に出て来い」というのは、難しくなっています。今は、どう地域も絡めていくかが悩みです。人間関係を 地道に作っていくことが必要だと思います。
途切れず機会を多くすること
戦争のとらえ方が世代によって違うと感じました。伝え方もいつも同じリズムではよくない。いろいろ教えてくれたアンケートでした。大切なことは途切れず考える機会を多くすることです。企画を地道に続けることが大切です。大変ですけど。
くりかえしますが、九条は変えずに今のままで守っていかなければなりません。
橋元 高博さん(医師)
1958年、鹿児島県生まれ。鹿児島大学を卒業後、1983年に鹿児島民医連へ。現在、鹿児島生協病院にて麻酔部長を勤める。そのほか、医療安全管理委員長、県連医活委員長を担当。今回のアンケート結果を学術運動交流会で発表。
(民医連新聞 第1366号 2005年10月17日)