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民医連新聞

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看護もっと輝きたいの (1)今、現場は 準夜勤を密着取材 鳴りやまないナースコール 終わらない仕事

 看護現場の困難が大きくなっています。看護師の健康を脅かし、医療の安全をも揺るがす「社会問題」として、全日本民医連は「第二のナースウ エーブを」と呼びかけています。連載初回は東京・立川相互病院(三四五床)の四年目看護師の準夜勤に密着しました。いま、看護現場は…?(荒井正和記者)

 北村未来さんは、五〇床の総合診療病棟勤務です。臨床研修の場でもあり、病名はさまざま、特殊な疾病をのぞく急 性期の患者さんがいます。スタッフは総勢二三人。準夜勤は一六時から深夜一時まで、三人であたります。北村さんは全体を見る係。残り二人が二五人ずつ患者 さんを担当しました。

* *

 一七時、申し送りを終えた北村さんは、病室を回り、夕食前の準備。おしぼりを配り、患者さんの顔や手を拭き、声 をかけ、体調を確認。患者さんを起こし、ベッドの背を立て、テーブルを設置。一時間で一四の全病室を回りました。その間も氷枕を替え、痰を吸引し、ポータ ブルトイレの始末もしています。

 一八時、病棟に食事が到着。三人で手分けし、薬といっしょに各ベッドに配膳。この日、食事介助の必要な方は一〇人、高齢で介助の必要な患者さんが多いのです。北村さんは四人を担当しました。

せめてもう1人
スタッフがいれば

 Aさんの食事介助を始めて二分、ピッチにBさんからナースコール。部屋に行くと、二四時間心電図を携帯電話と勘違いして困っていました。「心臓の検査です」と、北村さんは優しく説明しました。

 Aさんの元に戻って五分後、またコールが。今度は足の痛みを訴えるCさん。訴えを聞き、食べ終わったCさんの膳を下げ、再びAさんの介助へ。が、またまたコール。北村さんは「ごめんなさい。呼ばれてしまって…」と出ていきました。四〇分間で鳴ったコールは六回でした。

 四人目のDさんの食事介助にとりかかれたのは一九時過ぎでした。「職員三人では食事介助だけでもたいへん」と、北村さん。せめてもう一人スタッフがいれば、患者さんも助かるのに、と記者は思いました。

患者さんに気遣われる

 Dさんの介助中、別の看護師の緊急コールが。Eさんが痙攣を起こしました。詰め所に走って担当医を呼び、救急カートを病室へ。医師と二人の看護師の処置中にもコールが二回。

 Eさんが落ち着き、Dさんの部屋に戻って食事介助し、下膳しようとした時、Fさんからコールが。「早めに行きま す、少し待っていただけませんか。お願いします」と、北村さん。Dさんの食事量をチェックし、ベッドの傾きを緩め、Fさんの病室へ「ごめんなさい。お待た せして」。「こちらこそ」Fさんも申し訳なさそうな顔でした。

23時、ようやくお茶
言葉も出ずに

 二〇時過ぎ、詰め所に戻ったとたんHさんからコール。点滴の予定時間が過ぎていました。「すみません。すぐに用意しますね」。

 二〇時から点滴を始める患者さんは数人、一九時三〇分に準備開始の予定でしたが、大幅に遅れています。Hさんのセットを確認し、他の患者さんの点滴に回りました。

 回り終えたのは二一時過ぎ、すでに消灯時間でした。再度病室を回り、オムツ替え、体位交換、部屋の灯りを消していきました。

 二二時過ぎ。懐中電灯で暗い病棟を歩き、患者さんを車イスでトイレへ。そして痰の吸引、注射…。「やっとひと息つけそう」の声に時計を見ると、二三時を回っていました。ようやくお茶を口にした北村さんと顔を合わせましたが、お互い言葉が出ませんでした。

 日付が変わり、夜勤者への申し送りが終了しました。「まだ明日の日勤者がつかう点滴の準備が残ってます」。北村さんの仕事は続きました。

* *

 この夜は救急入院がなく「まだマシ」だったそうですが、仮眠室で横になった記者の腰は痛み、足は棒でした。介助中に次つぎ鳴るナースコールに機敏に対応し、走り回っていても、笑顔で対応する北村さんに、「プロ」を感じつつ、体力がないと勤まらないと、痛感しました。

 同院の看護職員の配置は、診療報酬では最高水準(二対一看護)。それでも手が足りません。看護師の増員は待ったなしの課題です。

 苦闘する看護現場で一歩でも改善するための努力、悩みや喜びを連載します。ご意見ご感想をお寄せ下さい。

(民医連新聞 第1364号 2005年9月19日)