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民医連新聞

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9条は宝 発言(4) 9条は宝 発言(4) いまの私の宿題は… 勇気だして 話すこと

 今回は行動に立ちあがった青年職員の発言です。

 事務長から「カンパがたまったから、広島の原水爆禁止世界大会へ行かへん?」って、声をかけられたのが最初でし た。原爆が投下されたその日、その場所に身を置いてみたい、と思ったので「行きます」って答えました。ウチの歯科から初めて出る代表が私やったなんて、知 りませんでした。
 両親から「戦争はあかん」と聞いたり、小学校の修学旅行で行った広島で原爆の恐ろしさを知ったりして、平和が大切だとは思っていました。でも私は、その ために何か行動するという人ではなかったんです。

 世界大会では核兵器をなくそう、平和をつくろう、という人たちがこんなにも集まった、という驚きと、初めて知る 事実にショックでした。「原爆」という言葉を使うことを占領軍に禁止され、慰霊碑に刻むことさえ許されなかったこと。アメリカが原爆を落とした目的は、戦 争以外に核兵器が人体に与える影響を知るための実験の要素もあったことを原爆傷害調査委員会跡を見学して知りました。被爆者の「研究」の成果を土台に、ま たアメリカは劣化ウラン弾を使っている。六〇年前に日本で起きた悲劇が、今のイラクの人たちの苦しみにつながっている、と思うと許せませんでした。
 帰ってきたら、またお誘いが…今度はニューヨーク!「市民の大行進に行かへんか?」って。平和活動とか、ホントやってない私が行っていい?って悩んだん ですが、「行こう、三〇歳になる節目の年やし」って、決めました。

***

 ニューヨーク行きが決まってから、あちこちであいさつを頼まれました。組合員さんの集まりとか、県連の学習会、 新人研修の場、地域の講演会で四〇〇人の前で発言することになった時は、舞い上がってしまいました。待合室にカンパをお願いするチラシを置いたら、患者さ んたちが声をかけてくれました。職場のみんなも励ましてくれます。
 慣れないことをしながら、「こういうのは、まわりの人も巻き込んですすめるんやな。これが運動なんやな」と、分かってきました。「行く」って決めた後から、そういうことに気付いてます。

平和を願うなら「行動しよう」と

 大して力はないんですけど、結局「本気で平和を願ってるんやったら、行動しよう」というのが、今の私の気持ちです。何かのイベントで一瞬盛り上がって終わり、ではもったいない、平和はずっと続くものにしていかないと。
 有事法制が制定されたころから、私なりの危機感を持ち始めていました。次は『憲法改正』がいわれるし。「戦争に反対するのが普通の感覚」と思っていたの で、「九条は邪魔、日本も戦争できる国に」という政治家が国会にいること自体、最初は信じられませんでした。
 「この憲法は押しつけられたものやからアカン」という人もいますよね。「それって、どうなんかな」と思って、憲法がつくられたころのことを本を読んだり して調べてみました。そしたら、私たちの国の憲法九条は、第二次世界大戦でイヤというほど犠牲を出して、「もう戦争はたくさん」と考えた世界中の人たちの 願いが集まってできたものでした。
 勉強しないと、なかなかまわりに伝えられない。いちばん親しい友だちに、話せてないのが私の宿題なんです。
 「ニューヨーク行ってきてん」「ええっ? 何で?」という会話から、勇気を出して平和のこと、話そうと思います。


 平野 幸さん(歯科衛生士)

30歳。奈良県生まれ。神戸医療生活協同組合・きたすま歯科に勤務。昨年8月、同歯科開設20年の歴史で初めて原水爆禁止世界大会に代表派遣された。NPT再検討会議を前に、先日ニューヨークで行われた市民大行進にも参加。

(民医連新聞 第1356号 2005年5月16日)