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民医連新聞

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あなたの職場におジャマしまーす(13) 群馬・高崎中央病院 院内活性化本部

私たちのパワーは患者さんの笑顔!

 病棟や病室には絵画が掛けられ、ちょっとした美術館のような雰囲気の高崎中央病院。受付窓口やナースセンターのカウンターには手作りの木の人形が置か れ、患者さん、家族の心を和ませます。この仕掛け人が、聞き慣れない名の「院内活性化本部」です。取材しました。(荒井正和記者)


 三月一七日の昼下がり、外来の終わった待合室に元気な声が響き渡りました。近所の保育園児たちが、日ごろの練習 成果を見せにきたのです。「大きなかぶ」のおしばいを演じたのは四歳児たち、五歳児は「となりのトトロ」を歌い、年長クラスは「クラリネットこわしちゃっ た」を合奏しました。

 入院患者さんや家族、お見舞いの人、職員など約五〇人が楽しそうに見ていました。顔を上下させ音頭をとったり、両手をくんで真剣に発表を見つめる車イスの患者さん。

 患者さんは「小さいのにこんな発表をするなんてすごい」。患者さんを気づかいながら、その横で園児たちの発表を見守っていたのが、鈴木隆院長でした。院内活性化本部の委員長です。

 同本部の前身は、「快適空間創造委員会」。五年前、病院のリニューアルを機に誕生した委員会でした。

「増改築で病院の建物はきれいになりました。でも、廊下は殺風景で、壁も白く、患者さんは落ち着かないようでした。職員も業務にしか目がいかず、なんとかしたいな」という鈴木委員長の思いからはじまりました。

地域と関わり深め

 委員会のメンバーは各職場から一、二人、なるべく青年職員を選出しました。まずは待合室や病室に本、雑誌を置く ことから始めました。院内にBGMを流すことも提案し、実現しました。組合員さんや職員が描いた絵を病棟の廊下に飾り、二階三階あわせて五〇ある病室すべ てにも小さな絵を掛かけました。

 地元高崎の切り絵作家の画集を見つけて二冊買い、一ページずつ分け、形を整えてホームセンターで安く買った額に 納めました。「面倒な作業だ、と委員から不満も出ましたが、まずひとつの病棟でやって患者さんが喜んだので、病室すべてに絵を掛けよう! となりました」 と鈴木委員長。

 活動が軌道に乗り出すと、患者さん向けの「企画」が持ち込まれるように。そこで「院内活性化本部」に改称、イベントも扱うことにしました。

 群馬民医連の学生担当者の紹介でマンドリン部に入っている奨学生が仲間を連れ、演奏に来ました。お花見や中学校の吹奏楽部の演奏会、クリスマス会、保育園児たちの発表が毎年の定番行事になりました。

 行事を通じて、地域の人との関わりも深まってきました。ボランティアでお花見や院内の行事に参加してくれるようになったり、クリスマス会で手品を披露したり、琴を演奏してくれる人もいました。

 療養環境の整備も続けています。委員は二、三カ月に一度、業務後に集まって、木の人形や紙粘土で猫の置物などを作っています。

青年職員が活躍

 委員の一人、検査技師の武井智宏さん(28)は六年目の職員です。この日、園児たちの発表を見せようと、病棟か ら車イスの患者さんを連れてきました。「患者さんが喜んでくれるのが一番うれしいです。行事の日は、委員だけでは手が足りません。もっと職員の協力がもら えるといいのですが、皆忙しいから」。

 薬剤師の小林利明さん(32)も六年目の職員。「窓口にある置物を見た患者さんと会話になります。かわいい、作り方を教えて、って。業務外の作業は大変でしたが、それを認めてもらえたような気がした」と声を弾ませました。

 「青年職員が力を発揮して、業務とは違う顔を見せますよ。やるな、パワーあるな、という場面を何度も見ました。 何かやりたいという気持ちにマッチしていたのでは? 楽しそうに人形を作りながら、職場を超えて交流したいね、なんて言っています」と、鈴木委員長。「苦 労はありません。やれることを少しずつ増やせばいいですから。ガーデニングや行事で地域の人と日常的に結びつきたい」と抱負を語りました。

(民医連新聞 第1355号 2005年5月2日)