川崎協同病院「気管チューブ抜去・薬剤投与死亡事件」の判決にあたって
2005年3月25日 全日本民医連医療部部長 小西恭司
〔談話〕
本日(二〇〇五年三月二五日)、川崎協同病院で起こった「気管チューブ抜去・薬剤投与死亡」事件に関して横浜地方裁判所において、当時の主治医である被告に対し懲役三年、執行猶予五年の判決が下されました。
なにより患者の人権を守ることを第一にかかげ医療活動を行う私たち民医連において、このような異常な事件が発生したことをあらためて真摯に受け止め、あ らためて、お亡くなりになられた患者様のご冥福をお祈りすると共にご遺族の皆様に重ねて心からお悔やみ申し上げます。
この事件について全日本民医連は二〇〇二年四月一九日の医療活動部長談話で表明したとおり、判例に基づく積極的安楽死容認の条件に全く当てはまらないも のであり、治療方針をめぐる集団的な議論がなされないまま、主治医の独断で気管チューブの抜去・鎮静剤の投与・筋弛緩剤の注射がなされた許されざる事件と 考え、対応してきました。
私たち全日本民医連はこの三年間「事件」の事実経過を徹底して調査・分析するとともに、外部評価委員会の報告にも学びながら「人権を守る安全・安心・信 頼の医療」、「民主的チーム医療」、病院における管理運営の改善のとりくみをすすめてきました。
川崎医療生協・川崎協同病院では事件を真摯に受け止め、痛恨の経験を踏まえ、「終末期医療指針」「インフォームド・コンセント指針」をまとめ、職員や地域の中で学習会やシンポジウムを開催するなど努力を重ねています。
また、私たち全日本民医連は医療倫理問題について、全国の加盟各病院において弁護士や患者団体などの外部の識者の参加をえて医療倫理委員会を立ち上げ、 「患者の人権」を根幹にすえ尊厳死や積極的安楽死・DNRなどについて学習し、討論・検討を行っているところです。
今後とも「一人で決めない」「一度で決めない」の原則をしっかりおさえ、二度とこの様な事件が私たちの医療現場で起こらないようにとりくみを強める決意です。以上
(民医連新聞 第1353号 2005年4月4日)