命によりそう(2) 介護保険「見直し」 軽度要介護者は? 軽度要介護者の実態多くの人に知らせたい
長野(3) ヘルパー 山極(やまぎわ) 紀子 Uさん(75)は介護度1、夫との二人暮らしです。四〇歳で脳梗塞を発症、右マヒが残りました。大学病院からリハビリ専門の病院を経て、在宅へ戻りました。
動作が緩慢になり、歩行障害が出て、パーキンソン病と診断されたのは三、四年前。以来私たちは彼女にかかわり、いま、週一回の訪問看護と訪問リハ、一日二時間のヘルパーを週五日利用しています。
彼女にはうつ症状があり、日によって動作に大きな差がでます。昨日一人でできていたことが、次の日にできないことがあります。
「自分が生きていることでみんなに迷惑をかけてしまう。死んでしまいたい」と言います。そんなときはヘルパーが訪問して、そばでじっくり話を聞きます。すると、少しずつ元気を取り戻し、いつもの彼女になるのです。
夫は話します。「介護度1でもその状態は人それぞれ違います。自分一人で妻の介護が出来るなら、何も人様には頼 みません。できないからお願いしているのです。二四時間妻を一人で看るのは困難です。ヘルパーさんに来てもらえるから、自分もほっとできるし、いつもの妻 に戻ってくれる。介護保険から外されたらどうなるのか…」。
独居のVさん(七七)は介護度1、心臓疾患を抱えています。一日二回、ヘルパーを利用し、何とか生活が送れる状態です。それでも妻の介護を続け、看取りました。
介護保険の軽度要介護者切り捨てに対し、「もう逝けっていうことかね」と、彼は言いました。
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当ヘルパーステーションは、〇四年一一月の利用者数七五人。うち要介護1が三〇人、要支援が五人、軽度要介護者が全体の約半数です。
軽度要介護者の五七%は八〇歳以上の人たちでした。一人暮らしや老老世帯、障害者との同居など、家庭に介護力がない人たちが六六%にのぼっていました。
これらの実態を多くの人に知らせ、利用者の立場に立った介護保険の見直しにするよう働きかけなければなりません。
昨年一〇月、上田市社保協の学習会で当ステーション利用者の実態を報告しました。
利用者の命と心に寄り添う、ヘルパーの役割の大切さについても、みなさんに知ってほしいと思っています。(ヘルパーステーションにじ)
(民医連新聞 第1348号 2005年1月17日)