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民医連新聞

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新医師臨床研修だより―3― 愛媛生協病院

組合員さんにかこまれ 地域で成長する研修医

日本で一番小さいが 夢はでっかい

 松山市郊外にある愛媛生協病院は、今年3月末付けで臨床研修病院に指定されました。当院は80床で、指定 病院としては日本で最小です。MRIもICUもありません。しかし、地域に密着した医療、プライマリヘルスケア、家庭医療にこだわって、良い医師を育てる ことを自負しています。患者様・住民との密接なふれあい、病院スタッフとの近い関係も小規模ならでは。最新の医学知識、EBM、インフォームド・コンセン トも、患者様との隔たりのない関係の中で生かせます。いま2人の研修医が、職員・組合員に暖かく囲まれ、「5つ星医師」をめざし奮闘中です。(渡部啓子 愛媛生協病院事務次長)

 研修が本格化したいま、研修医2人は、病棟で患者様を受け持ち、診察の方法、検査、診断、治療と、限りなく学ぶ日々を送っています。そして研修は、病院内に限られません。

 当院をささえる組合員さんたちの存在を生かした「組合員とともにすすめる医師養成」と銘打ったプログラムが始 まっています。それは、研修医がひとつの医療生協支部を受け持ち、その支部が行う青空健康チェックや健康講話に出たり、班会の講師をつとめるなど、支部の 運営に緊密に関わるものです。その中で、地域の特徴やそこに暮らす住民の要求、行政の事情や住民の運動、まちづくりの視点といったことも学びます。支部の 組合員さんたちの健康上の問題点も見え、「予防医学や地域医療」について考えることもできます。

 支部は「研修医の担当」として、研修医にとってプラスとなるような企画を考え、まちづくりのテーマなどを提示するという、双方向性のスタイルです。支部も諸活動が活性化していくという効果があります。

組合員さんは大歓迎

 この方法は、研修がスタートする前に医療生協内で話し合い、担当支部を決めました。「私たちの病院で研修する医 師をいっしょに育てたい」と、5月に、組合員さんたちは「研修医歓迎のつどい」を開きました。会場の病院会議室は組合員さんでいっぱいになり、支部と研修 医とがお互いに、スライドで自己紹介しました。

 班会の講師デビューは3度目から。はじめの2回は先輩医師がいっしょに出て、教えました。1年目医師には3年目医師がマンツーマンでつき、小さな屋根瓦方式をとっています(とても良いコンビです!)。

「ずっといてね」

 研修医の村上祥子(さきこ)さんは、すでに「健康チェックの意味」「脳梗塞」「不眠症」「インフルエンザ」など で、何度も講師を経験しました。必ず予習して班会に出向きます。組合員さんは血圧の知識などはすでに持っていて、飛び出すのは「テレビでこんなこと言って いたけどホント?」などの質問。納得してもらえるような答えを心がけています。

 村上医師は、「医師が患者になる前の人と接することは、健康づくりの動機づけができるという点で価値があると思います。医師や看護師と雑談できる関係というのがとても大切です。それは一方通行でないコミュニケーションですから」と話します。

 支部の運営委員さんは、研修医からみたら母親ほどの年齢の人ばかり。「ずっといてね」「ずっと診てね」と言われ、暖かい気持ちと期待を感じ、地域で配食サービスのボランティアも体験、「地域の人と関わると元気になる」と村上医師。

研修の評価も担う

 研修医たちのこうした活動は、全体の研修スケジュールの中で指導医が調整しています。

 そして研修の進捗度を評価する院内研修委員会には、支部の代表も招いています。「評価はどうしたらいいの?」との声もありましたが、「成長のため建設的に率直に」意見を出してもらっています。

 地域に根ざす小さな病院だからこそ、組合員さんたちの「顔」が見えます。この特徴を生かして、患者様の気持ちがわかり人間味のある医師になってもらおうと、職員・組合員も研修医とともに、がんばっています。

(民医連新聞 第1343号 2004年11月1日)