医療安全の経験地協で共有しよう
関東甲信越地協が初の「診断会議」
新潟・舟江病院で
関東甲信越地協は九月一八日、第一回目の「医療安全診断」を新潟・舟江病院で行いました。これは「医療安 全の点検を地協内でも実施しよう」、との全日本民医連の呼びかけに応えたもの。同院では、坂井洋一郎院長ら管理部が、地協の医療安全診断委員一四人を迎え ました。名称は「診断会議」。新潟県連と舟江病院における「安全管理体制の整備状況」の報告を受け意見交換し、その後院内をラウンド、講評する半日のとり くみでした。(小林裕子記者)
チェック表にそって、新潟県連と舟江病院から報告を受け、意見交換が始まりました。
冨田孝博委員(埼玉)が「患者相談窓口はどうなっていますか?」と質問。舟江病院の高井元子総看護師長は、「各部署が受け、対応できないと管理者に回りますが…」。
司会の五十嵐修委員(地協医療安全委員会責任者)は、「患者さんからの苦情に、他県の事業所ではどう対応してい ますか?」と診断委員に聞きました。「職責者を相談窓口として掲示しています」と飯塚譲委員(山梨)。「リスクマネジャーが窓口です」と森 広也委員(東 京)。各委員が所属する事業所の状況を出し合いました。
舟江病院では、下越病院でKCL注射事故が起きた「八日」を「安全チェックの日」にして、「安全パトロール」を 実施しています。安全委員五人が朝一〇時から約一時間職場を巡視。「ストレッチャーのベルトが外れていた」「伝票と患者の照合があいまい」「器具を拭く布 に薬剤がついていなかった」など、毎回気づいたことを各職場に報告します。ここに委員の関心も集中しました。
的確な眼、率直な指摘
率直な意見交換の後、院内巡回へ。柔らかな材質の床、ゆったりした廊下、きれいな病室…。「うちのリニューアルの参考になる」と目をこらす委員もいます。
外来処置室の流し台を見た森委員は、「清潔領域に汚れた物を置いてはいけませんね」。他の委員からも、「リキャップ禁止のはずだけれど、ありますね」「除細動機はいつも充電しておいて!」「輸液ポンプは定期点検を」…、その場で指摘が出されました。
続けて講評に入りました。全委員がとりあえず気づいたことを発言。「内科系と整形系のカルテ置き場が別で、取り 違えなど起きませんか?」「マニュアルの改訂日、決定者が記入されていませんね」「マニュアルは文書だけでなく、フローチャートや図を使うと職員にわかり やすくなりますよ」「職場の理念が掲げられていません」「鍵の管理を意識して」など、注意やアドバイスが出されました。
講評責任者の根岸京田委員(東京)が「ハード面はすばらしい。課題は看護記録・リハ記録が医師にすぐわかるしくみ、安全対策指針の具体化や権限の明確化などソフト面の改善」とまとめました。
ともに向上しよう
診断委員会にとって、今回はパイロット・スタディです。
〇三年九月に組織された同委員会は、二カ月に一度の会合で問題意識を出し合ってきました。話題がつきず、休憩時間がないほど。鈴木ひとみ委員(千葉)によると、「リスクマネージャーは交流したいという要求が強いから」です。
医師はじめ多職種からなり、リスクマネージメント業務に関わる各委員が、「どんなポジションで、何をやり、どんな苦労しているか、お互いにわかった」と佐々木康子委員(新潟)も同意します。
一年かけて準備した「診断会議」。「患者の同意書はまだ不十分なようですね。参考資料は送りますから、ぜひ充実させてください」。終わりに出た森委員の言葉が、その役割を象徴していました。
舟江病院:内科・リハ・整形など一日外来患者数は約一五〇人。二階は一般四四床。三階は療養四五床。
(民医連新聞 第1341号 2004年10月4日)
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