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民医連新聞

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あなたの職場におジャマしまーす(7) 大分・けんせい歯科クリニック

できたてホヤホヤ アットホームな歯科診療所

 今回おじゃましたのは、大分健生病院から歩いて、数十メートルのところにある「けんせい歯科クリニック」。「全県連に歯科を」の第三五期総会方針を受 け、今年歯科が誕生した三県連のうちの一つです。歯科医師一人、歯科衛生士三人、事務長一人の体制で七月に診療をスタートしました。「痛くなってから仕方 なく行くところ」ではなく、「行くことによって自分の健康に自信が持てる場所」づくりをめざしています。(鐙(あぶみ) 史朗記者)

 真新しい診療所の建物の玄関にはスロープがあり、廊下も広くバリアフリーです。大きな窓から明るい日差しが差し込む廊下には、組合員さんが描いたお花の絵が来院者を和ませています。

 「開設委員会で着工前に組合員さんにも図面をみせ、意見をもらいました。玄関の位置だけでも、三回見直してきた んです」と、辛島好文事務長。その他にも職員の白衣やエプロンのデザイン・色、診療ユニットの色、診察室への入口、プライバシーを考えた個室感覚の診察室 まで、職員と組合員さんが納得するまで話し合って決めました。

 開設準備に関わってきた組合員の橋本まゆみさんと荒川京子さん。「壁の色ひとつでも、業者にいろいろ注文をつけ ました。理事会では、『経営的にもたいへんな歯科を何で今さらつくるのか』などの否定的な意見がたくさん出ました。でも、現状の歯科に対する不安、不満を 出しあい、『私たちがつくる歯科は患者の話をよく聞くようにしよう』『インフォームドコンセントを大事にする』など理想を語る中で、建設の方向を固めてき た」と、言います。

 二人は、開設後も月一回開かれるカムカム委員会(院所利用委員会)に参加しています。委員会では、辛島事務長から経営状況の報告なども受け、「気づいたこと」「改善すべきこと」を積極的に提案しています。最近では、待合室から丸見えの洗面所にカーテンをつけました。

小児には遊びも取り入れ「こわくないよ」と

 診察室では、後藤芳枝所長が、小学一年生の美月ちゃんと向き合い、話していました。診療所では、一般歯科の他に小児歯科もあります。

 美月ちゃんが「その薬、歯につけてもしみない?」と聞くと、後藤所長は、薬を自分の歯につけて見せ、「しみないよ」と答えていました。麻酔の注射や器具を取り出し「こういうの使うけどいい?」と、子どもたちの了解をとって治療をすすめます。

 「初めて歯の治療にきた子どもは、緊張してユニットのイスに座ることですら怖がるんです。綿を丸めたり、バキュームを手にペタペタと当てたりと、遊びを取り入れています。機器に慣れて、ちゃんと座っていられるように、何回か練習して、治療を始めています」と後藤所長。

 お母さんに聞くと、「歯医者に行っても絶対に口を開けなかった子が、ここには抵抗なく通う」と言います。来院する子どもたちは、まるで遊びに来たかのよう。どの子の表情も生き生きしていて、笑顔がたえません。

 どう子どもに接したらよいかのアイデアは、歯科衛生士から次つぎと出されます。「小児、低年齢児は初めて」とい う歯科衛生士の佐藤千代子主任は「参考になる本も読んでいます。昼食時にどうしたら泣かせずに治療できるか話し合ってるんです。後藤先生とも情報をやりと りしたり、反省点も出しあって、かなりやりがいをもってます」。

医科歯科連携に力

 スタッフは、開設準備中から、健生病院の外来で歯科無料健診をしました。また、班会、歯の保健大学などで、歯と 全身の健康との関わりや、自分の歯で噛むことの大切さを訴えてきました。現在でも、班会へ出かけ、「歯周病予防」や「歯磨きのしかた」を話しています。七 〇、八〇歳の高齢者からは「七〇年前に歯が大事やっち(だと)聞いちょったらよかった」と言われるとのこと。歯に関心を持つ人が増えています。

 後藤所長は健生病院の医局の朝礼に毎日参加して情報を交換しています。糖尿病の入院教育プログラムには「口腔ケア」を取り入れるなど、医科歯科連携に力を入れています。

 「今後は、経営を安定させ、今いる二人の奨学生が働きたいと思えるような施設にしたい。患者さんの要求に応えられるように、自分のスキルアップもしていきたい」と、後藤所長は展望を語りました。

 職員、組合員さん、患者さんのコミュニケーションがとれた、アットホームな歯科診療所でした。

(民医連新聞 第1341号 2004年10月4日)