憲法9条、25条守るたたかいを 第36期第1回評議員会方針を決定
第三六期第一回評議員会が八月二一~二二日東京都内で開かれ、評議員、理事など一二〇人が出席しました。肥田泰会長は、沖縄の「米軍ヘリ墜 落事故」や今後の「介護保険制度見直し」などに触れ、あいさつ。評議員など四〇人が発言し、豊かな活動から議案を深めました。決算・会計監査報告、評議員 会方針を拍手で承認し、「憲法九条と二五条を守るたたかいを広げ、共同組織強化発展月間を成功させよう」と決意を固め合いました。一橋大学の渡辺治教授が 「参院選後の情勢と憲法を守るたたかい」で講演しました。
「熱中症の危険のある高齢者を訪問し、居室の気温を測定、自治体に対策を申し入れた」大阪、「水害対策マニュア ルに従って迅速に患者支援にとりくんだ」福井、「米軍ヘリ墜落事故」での沖縄、「人質事件」での北海道など、人権や平和の問題に機敏に反応した活動が報告 されました。
「憲法トーク講座をすすめる」富山、「沖縄JBに学び、大阪JBをめざす」大阪、「教育月間で職責者の総会方針読了が力になった」福岡など、職員の力を引き出す創意工夫とリーダーシップについて発言がありました。
特に福岡の、「ホームレス問題、身障手帳の発行、自営業や建設労働者の健診にとりくみ、職員の雇用問題の認識が深まった」、「健和会支援を通じて全県で経営改善で前進している」との発言が注目されました。
高濃度カリウム注射剤による二度目の事故が起きたことで、理事会は二つの視点と三つの提起で「緊急に自己点検、相互点検を」呼びかけました。石川、京都の評議員は「事件を教訓に組織改革、医療の質向上にとりくんでいる」と発言しました。
また理事会の「介護保険の見直しに対する『たたかいと対応』の基本視点」の説明を受け、論議しました。
山梨から「民医連の要介護者の実態調査の結果を報告したところ、甲府市が同様の調査を始めた」、長野から「要支援・要介護1の軽度要介護者の八三〇例を調査分析している」などの経験が出されました。
理事会は、(1)現場の実態をもとに自治体へ働きかける、(2)新・介護予防について、共同組織と「まちづくり」を発展させ、新たな可能性を追求しよう、とよびかけました。
医師管理・病院管理と医師労働の改善、中低学年医学生への働きかけの強化、医師臨床研修の成功などの必要性を強調する発言もあいつぎました。
半年の豊かな経験評議員の発言から
ヘリ墜落に怒り、抗議
沖縄 新垣安男評議員
墜落した米軍ヘリコプターは一〇〇人乗りの大型輸送機で、イラクでも使われているものです。もし夏休みでなかったら、大惨事になったはずです。
県連では、通報ですぐ、けが人の受け入れ態勢も検討し、奇跡的に負傷者がなかったと知って、抗議行動に切り替えました。
普天間基地の危険性はずっと指摘してきたし(米軍機の墜落事故は四一件目)、米軍と自衛隊の一体化の動きが強ま るなかで起きたものです(米軍は現場を閉鎖し、県警の事故調査を拒否しました)。宜野湾市は抗議声明を出し、また市長が沖縄国際大学での一万人市民集会を 呼びかけました。
辺野古では、四月一九日からボーリング調査を阻止するための座り込みが続いています。民医連の職員は、交替で毎日テント小屋に詰めています。
薬剤管理を相互点検
東京 前沢淑子評議員
他法人の薬剤師が薬剤管理を点検する「相互点検」で、自己点検ではわからなかったことが、チェックできました。全日本民医連の点検項目に、「院所長が管理責任を果たしているか」を問う項目を追加し、実施しました。
石川・城北病院の事件を「うちではあり得ない」、相互点検を「これ以上業務を増やしたくない」と考える傾向があ りました。しかし「ハルシオンを月に数千錠使用する薬局で、もし一〇〇錠ずつ持ち出されたら、翌日すぐ分かる管理をしているか?」と問われると、十分では ありません。
医療関係者の薬物依存や暴力団とのつながりなど、薬物乱用に関する犯罪は後を絶ちません。職員を守る視点からも、社会的な責任からも、あいまいでない管理が必要です。
自己点検は一〇〇%、相互点検は八七%が終了しました。その結果、診療所で「毒薬を鍵のかかる場所に保管」「他薬品と区別して保管」などに問題が散見され、「施用記録と帳簿が合わない」不備も発見されました。
県連は全事業所に対し、「薬品庫の鍵は限定した職員が身につけて所持」「ハルシオンは一錠単位で在庫管理する」などいくつかの項目について、再度の徹底を呼びかけました。
「盗難事件」を教訓に
石川 野村鈴恵評議員
城北病院で起きた「向精神薬盗難事件」では、直接的には研修中の看護師の窃盗と、ずさんな薬剤管理が問われまし た。しかし薬剤の長期にわたる大量紛失に「なぜ気づかなかったのか」、看護師が「なぜ薬物依存に陥ったのか」を考えると、病院の根幹である管理や職員育成 などに、弱点が多く存在することに気づきました。
事件後、管理会議などで何を教訓にし、改善するか、原因を正確に把握し、「安全文化を高める機会」にしよう、と討議しました。
まず法令にもとづく管理基準を作成し、職場を巡り、基準遵守を日常的に点検するシステムにしました。
事件直後、職員を守る立場でメンタルヘルス支援室を設置しました。新人研修プログラムを見直したり、病棟管理運営会議を強化するなど、改善点を示した文書を全職員に配布して、討議に付しています。
連続20カ月1000万円増資
岩手 小野寺けい子評議員
年間収入に匹敵する投資で建設している新病院は、あと一カ月で完成し、一一月から診療を開始します。 「出資金を集めることは、組合員さんの心を集めること」を合い言葉に、増資運動にとりくみ、二〇カ月連続で、毎月一〇〇〇万円以上の出資金集めを達成しています。
岩手では、県立病院が赤字で、数年間で一二病棟、七二〇床を削減する計画が出されました。その中で、「いのちと健康を守る砦」として医療生協、民医連に期待が高まっています。
自治体健診や節目ごとのキャンペーンでは、組合員と職員がペアで地域訪問をしています。経営状況を組合員にも知 らせ、共同の力で経営改善にとりくんでいます。「今日は外来患者が少ないようだが、大丈夫か」と、率直な意見や要望が出されます。こうした活動により、患 者数、件数とも前年より増加しています。
(民医連新聞 第1339号 2004年9月6日)