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民医連新聞

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私と憲法(6) 日本の憲法草案にかかわったベアテさんの熱意に感銘

三宅裕子(長崎・上戸町病院、医師)

 中学生のころ、社会科の授業で学んだ日本国憲法。条文自体を一所懸命暗記はしたが、毎日の生活の中で憲法を意識することなど、これまでほとんどありませんでした。

 今年五月、日本国憲法の草案を作った一人、ベアテ・シロタ・ゴードンさんの講演会が長崎で開かれました。女性政 治運動のリサーチを仕事としていたベアテさんは、その経験をもとに憲法草案の作成に参加、彼女の提案が第一四条「法の下の平等」、第二四条「個人の尊厳と 両性の平等」などに生かされました。

 人間の平等や平和を高らかに謳(うた)ったベアテさんらの願いは、ずいぶんその「主張」を薄められてはいるものの、それでも世界中の人から高い評価を受ける日本国憲法として結実したのです。日本国憲法作成に対するベアテさんたちの熱意に、私は強い感銘を受けました。

 この講演をきっかけに、憲法についての報道に目が向くようになりました。第九条を中心とした改憲の動きが、とても気になっています。

 ベアテさんは、講演の中で次のように語りました。「私たちは平和を心から願う人間として、世界中の憲法のなかか ら、本当に優れた部分を選りすぐって、日本の憲法を考えました。世界中のいい部分を集めてつくったこの憲法は、世界に誇り広めていくべきものです。このよ うに優れた憲法を『押しつけられたもの』とは呼べないでしょう」。

 恒久の平和や人間の平等。これらは民族や時代を超えて変わることのない人類の願いです。それを謳った憲法が「古 くなったから」「押しつけられたから」という理由で変えていいものでしょうか。聞くところによると、日本の政府は「支配権力を拘束する定め」という憲法の 性質そのものも変えようとしているといいます。

 命にたずさわる者として、この行く末を自分の目でしっかりと見届け、責任のある道を選んでいきたい。

(民医連新聞 第1336号 2004年7月19日)