〈声明〉 「平成17年度予算編成の基本的考え方について」(財政制度審議会)における医療・介護分野での提言に反対する
2004年6月18日 全日本民医連理事会
全日本民医連は次の声明を発表した。
***
財務省の財政制度審議会は、二〇〇四年五月一七日、「平成一七年度予算編成」についての建議書を発表した。そこには、今後の社会保障制度、特に二〇〇五年に改定予定の介護保険や二〇〇六年診療報酬改定における、重大な方向付けが提起されている。
われわれはまず、年金、医療、介護等の総量の抑制を前提にした予算編成と制度改革は、高齢社会の日本の社会保障制度のあり方に逆行するものとして、強く抗議する。
建議書は、介護保険の「自己負担割合見直し」として、「利用者の自己負担率の二~三割への引き上げによりコスト 意識を喚起すべき」として、医療保険と同じ自己負担率三割まで引き上げるべきとしているが、今でも一割の利用料負担が重く介護サービスの利用が制限されて いるのに、三割負担を介護保険制度にまでひろげようとする動きは、断じて認めることはできない。更に、給付範囲を「軽度の者については見直す」とし、要支 援・要介護1の介護保険からの給付削減を示唆し、「一定額まで保険免責制度の導入を検討すべき」として、介護サービスの一部を保険からはずすことを提言し ている。これは、介護の社会化に向け一歩を踏み出した介護保険制度を大きく後退させるものである。
また、医療分野では、「公的保険がカバーする疾病、医薬品等の範囲の抜本的見直し」として、先発薬の使用まで特 定療養費とするなど、特定療養費制度を拡大し、公的医療保険の縮小を提示し、さらに、入院医療全般の診療報酬包括払い化、保険者機能の抜本的強化など、公 的医療費の抑制を自己目的化した政策を打ち出している。
日本医師会は、この建議書への反論を発表し、「国民医療を守る視点から極めて憂慮すべき事態」として反対を表明 した。民医連は、様ざまな医療関係者や福祉団体や地域住民とともに、この建議書の方向での社会保障制度改悪に反対し、安全・安心・納得の医療・介護の実現 に向けて、社会保障費の総枠拡大を強く要望する。
(民医連新聞 第1335号 2004年7月5日)