介護事業所への指導・監査各地で強まる
介護事業所への指導・監査が強まっていることが、各地からの報告で明らかになっています。
監査の重点は「運営基準に沿って適正運営され、正しく介護報酬の請求がされているか」、「サービスの質は確保されているか」の2つ。給付の内容にかかわるのがケアプランであるため、指導・監査の対象は居宅介護事業所に集中しています。
昨年4月の介護報酬改定と、運営基準の改定に伴い、各自治体で厚生労働省の指針に沿った指導・監査が強化されています。サービス利用者が増え、介護給付 費が増大しているため、給付を抑制したいのが厚労省の思惑です。こうした背景から、ケアプランの中身にまで踏み込んで「なぜこのサービスが必要なのか」と いった「指導」まで行う自治体もでています。
全日本民医連の介護・福祉部で現在各県にアンケートを実施中です。これまでに戻った20数県連の回答から、指摘の特徴は次のような内容です。
■指摘された項目■
居宅介護支援事務所での指摘内容は、減算にかかわる事項や記録の整備が中心です。サービス担当者会議の開催・モニタリング・月1回の訪問など、実施した ことがわかるように、「きちんと記録するように」指導された、記載していても、実施者のサイン漏れなどの不備を指摘された、などです。
また、重要事項説明書や運営規定の不備・不適切な記載、利用者のサービス選択に役立つ重要事項の掲示、秘密保持、事故処理簿などの記録の整備、などでした。
■その他の特徴■
具体的な「指導・監査」の例は、
(1)居宅介護支援事業所に対し、いっせいに「自主点検」を提起、不適切な部分は修正の上、「保険者へ報告するように」指示が出された。
(2)居宅介護事業所にケアプランの提出を求め、県・市が内容の精査を行った。
(3)ケアマネ1人あたりのプラン数50件が強調された。
(4)「介護度が改善できるプランを」と指導され、福祉用具貸与については「不適切なものがある」と指摘された。
(2)の例では、特徴的な事例のケアプランを事業所にいくつか提出させています。(3)は60、70件も担当しては、質の確保が難しく、運営基準も守られていないのではないか、と「疑問視される」というわけです。
(4)の福祉用具貸与に関しては、「要支援の方に電動車イスがなぜ必要か?」「要介護1の方にタクシーの乗降介助がなぜ必要か?」という指摘がされてい ますが、これは先日厚労省が示した「福祉用具給付の判断基準(案)」そのものです。現在、介護保険制度の見直しで、要支援や要介護1の方への給付はずしも 検討されていますが、この「基準(案)」は、見直しをまたずに軽度の方への福祉用具給付の制限を先どりするような内容です。
■対応について■
全日本民医連はこれまでも「事業所まかせではなく、法人の責任で、必要な場合は人の配置もして、介護事業所の法的整備をすすめましょう」と呼びかけてきました。
実地指導にきた行政担当者に、「厚労省や都道府県の通知や通達、Q&Aに精通してください」と指摘された事業所もあります。思わぬミスで指定取り消しな どにならないよう、法人・県連のレベルでの相互点検も行い、指導された点などは交流して学びあい、事業整備をすすめましょう。
(民医連新聞 第1333号 2004年6月7日)