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民医連新聞

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第1分科会 医療安全、人権を守る医療・福祉活動と経営、管理運営のとりくみ

 総会二日目は、八会場に分かれ分科会討論。午後は「医療安全、人権を守る医療・福祉活動と経営、管理運営のとりくみ」「平和と憲法、医 療・社会保障、共同組織強化のとりくみ」「医師養成と職員育成のとりくみ」の三テーマで、集中討議し、のべ五〇四人が発言しました。最終日の全体会で、第 一、第六、第八の分科会報告が行われました。

 代議員七六人、理事七人、他一人、計八四人が参加し、口頭発言五三、文書発言六通、のべ五九人の発言がありました。テーマに関わる第三章および第四章の第三節から五節に関する発言を中心に報告します。
 医療の質を高めるとりくみでは、埼玉協同病院から病院機能評価とISO9001を取得した経験が話されました。五年前に病院機能評価を受審、その後 ISO9001を受けて医師以外の職種の「目標による人事育成制度」をすすめました。さらにVer.4・0の機能評価更新では、院長の責任と役割、患者の 権利向上、第三者の検証に耐えうる医療と記録、制度より運営が大切であることなどが明らかにされました。その後、医師の人事評価、目標面接へと発展してい ます。
 病院機能評価のとりくみは山梨、青森からも、ISO9001のとりくみは、埼玉の浦和民主診療所からも報告されました。
 医療の安全に関して、長野から県連の医療安全委員会を立ち上げ、医療安全モニターを相互診断しているとの報告がありました。
 安全性については、運動方針案の三ページ、第一段一〇行目に「医療安全のとりくみはまだ緒についたところ」との表現があることについて、「これは謙遜か 現段階の評価なのか」という質問がでました。理事の説明では、「アウトカム=結果を出しきれていない」という意味で「緒についたばかり」と表現している、 しかし他の医療機関とくらべて劣っているわけではない。事故報告が引き続き病院から全日本民医連にあがっているが、鎖骨下静脈のIVHに関する死亡など、 同じ事故が繰り返されている。事故を減らす、なくす、という結果を出す必要があることが強調されました。
 医療の質に関しては、北海道の倫理委員会のとりくみ、沖縄協同病院の脳外科と回復期リハ病棟との連携、京都中央病院検査室の虚偽報告事件の経過報告がありました。
 保健予防活動の分野では、ヘルスコープおおさかが報告しました。六万人の組合員に対して、一万件の大腸癌検診、四〇〇〇人の前立腺癌検診にとりくみ、組 合員自身の活動参加、ガンの早期発見、そして保健予防収益が全体の五%まで引き上がるなど、多面的な効果が生まれています。愛知からも同様な報告がされて います。
 医療・経営構造の改善では、急性期を担う病院が、療養型や回復期リハ病棟を導入するかどうかについて、地域ごとに違いが出ていました。急性期病院で療養 型を導入するかどうかは、入院患者などの医療分析、医療度の高い人の受け皿をどうするかなどが、カギになっていました。
 一方、療養型中心の病院の経営改善では、金沢リハビリテーション病院から報告がありました。全館療養型を選択するにあたって、どんな患者さんを入院対象 にしていくか、基準を設けて運用しました。また入院診療報酬の包括制に対応するために、患者一人あたり一日の非採算部分の支出の目標を四〇〇円以下に設定 し、ベッド稼働の予測をたてて運営してきた経験がだされました。現在、同病院では経常利益がプラスで、非採算支出も二八〇円になっています。
 医師問題では、埼玉協同病院が医師の人事評価制度を開始し、年三回の評価面接とともに評価者トレーニングも始めています。千葉民医連が、個々の医師に労 働実態の自己管理表を書いてもらい、変則勤務時間で月一〇〇時間以内をめざしています。こうした経験がある一方、一年間に一七人の指導医を含む二五人の医 師が退職した宮城・坂総合病院、拠点病院に内科専門医が一人だけで、呼吸器の専門医がゼロになっている北海道・勤医協中央病院、医師問題が経営改善のカギ になっている前橋協立病院など、いずれも深刻な医師問題が内在していると報告されています。
 医師労働の適性化は医師の健康、医療の安全性からも重要です。医師労働にどんな問題あるのか管理部で把握すること、医師問題を管理運営の中心問題ととら えて適正な管理をめざすこと、労働基準法からも医師労働の適正化が急務であることが、発言でも強調されました。(函館稜北病院、代議員・堀口信)

(民医連新聞 第1328号 2004年3月15日)