“180日超入院問題”で厚労省へ 緊急調査もとに・全日本民医連
八月一八日、全日本民医連は「一八〇日超特定療養費問題に関する緊急調査」の結果をもとに、厚生労働省と懇談。「長期入院にかかる入院基本料等の特定療養費」による影響を、調査結果や現場の事例から現行制度の問題点を示し、改善を迫りました。
民医連からは、東京、神奈川、埼玉の事業所からSW、看護師をはじめ、一二人が参加。小池晃参議院議員(全日本民医連理事)も同席しました。
民医連の緊急調査の結果を永田勝美事務局次長が説明、「寄せられた一八〇日超の個票のうち、一割強が『除外規定』に非該当(=入院基本料の減算・特定療 養費対象)だが、介護度や自立度では、該当患者と大きな差異はない」と発言。
現場からは、在宅に移ったが、家族介護の困難さから介護者が自殺(埼玉)、老老介護で死亡に気づかなかった(神奈川)、褥瘡や痴呆で受け入れる施設がな い(東京)など、医療・介護の制度のはざまで苦しむ人の事例を示しました。
厚労省保険局医療課の担当官は「除外規定を固定的に考えていない。どういう病態像を除外すべきか示してほしい」と発言。これに対し小池議員は「社会的入 院は、まさに社会的な背景も加わって生じる問題。制度の不備でさらに厳しい状態になっている。除外規定が増えても問題は解決しない」と指摘しました。
保団連も要請
全国保険医団体連合会(室生昇会長)も八月七日、「診療報酬の実質引き上げ予算枠確保の要請」と「病床区分の届出と、一八〇日超入院患者の保険給付外しに関する要請」を厚生労働大臣あてに提出。
一八〇日超入院患者について厚生労働省は、「具体的な指摘があれば、除外対象の拡大を検討したい」「除外対象に準ずる状態であれば、レセプトに付記して いただき請求してほしい」と回答しました。
緊急実態調査の内容
03年6月10日~12日の任意の一日に180日以上入院していた患者の調査。
85病院から回答のあった1149例中、除外規定に該当しない患者は138例(12%)でした。いま詳細な分析中です。
(民医連新聞 第1315号 2003年9月1日)
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