第16回全日本民医連 歯科学術運動交流集会ひらく
テーマはBack to the basic~安全で快適な歯科医療を目指して~
第16回全日本民医連歯科学術運動交流集会が、6月28~29日、札幌市で開かれ、歯科医師、歯科衛生士など172人が参加しました(実行委員長は札幌歯科診療所 星尚之歯科医師)。テーマは「Back to the basic~安全で快適な歯科医療を目指して~」。
開会にあたり、全日本民医連・原田富夫歯科部長が「110を超えた民医連歯科院所、施設にはたくさんの宝が蓄積されています。大いに学び、交流し、院 所、施設での実践に役立てましょう」とよびかけました。2日間で76演題が発表、また8つのポスターセッションと5つの指定演題、記念講演があり、活発な 討論を行いました。
鐙(あぶみ)史朗記者
患者さんに病状を説明する媒体として独自でプレゼンテーションソフトを作り、活用している経験を東京・みさと健和歯科、土田昌巳歯科医師が発表し、注目を集めました。「医療の安全性の追求・患者サービスの向上」というテーマで一五演題の発表があった分科会です。
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二〇〇二年七月当時、土田歯科医師が勤務していた蒲原歯科では、デジタルレントゲンを導入しました。診療椅子の左には液晶モニターとパソコンが置かれ、 エックス線写真やデジカメで撮影した口腔内写真などを各ユニットで閲覧できるようになりました。
当初はそれのみの利用でしたが、職員から患者さんの説明用に使いたいという声があがり、土田歯科医師がホームページのソフトを使ってプレゼンテーションソフトを作ったものです。
今までは、患者さんに症状を伝えるために絵を描いたり、口頭で一生懸命説明していましたが、患者さんの理解はいまひとつ。このプレゼンテーションソフト の導入で、「歯周病」の説明や銀歯を入れるとどんなイメージになるのかも画面を使って見ることができるようになりました。また、歯式もきれいに作成でき て、プラークチャートも日付が自動的に入り、印刷してカルテに貼り付けることができるので、歯科衛生士の手間も省けると喜ばれています。
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山梨の武川歯科診療所は、かかりつけ初診対策としてパソコンソフト「デンタルセブン」を導入。患者初診来院時の個人データや歯周病のデーターなどの情報を入力し、患者個々の診断書を作成。
診断書は歯式や歯周ポケット値、測定時の出血状況などがカラーで図式化され、口腔内の状況がわかりやすいと患者さんからも好評です。子どもがもらってき た診断書をみて、親も「ほしくなった」と来院するほどに。治療計画の共有とカルテ開示の足がかりになり、患者数も前年比で増加しています。
会場から、かかりつけ初診の算定率や、初診時の所要時間は? などの質問が出され、参加者の経験も含めて交流しました。
鹿児島・谷山生協クリニックは「医療の安全性」「患者サービスの向上」を目的に「セーフティ・サービス・アップ・レポート」を導入し、日常的な業務を見 直し、職員全体で医療事故防止にとりくんだ経験を報告。また、山口・小野田診療所や北海道・勤医協札幌歯科診療所は同院で院内感染予防としてとりくんでい る滅菌、消毒方法を紹介しました。
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「医療経営構造の転換、経営改善、社保活動、地域と共同組織のとりくみ」の分科会では一五演題が発表されました。
埼玉の「すばらティースクラブ」、京都の「セミプロ講座」など、共同組織のブラッシング指導員を育成する歯磨きセミプロ育成のとりくみで虫歯をへらす効果を実証した経験が報告されました。
共同組織から唯一人参加した医療生協さいたまの組合員、中島光知子さんは、歯の大切さを地域の中にひろげる「子ども保健教室」のとりくみをビデオを使い紹介しました。
(民医連新聞 第1312号 2003年7月21日)