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民医連新聞

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日本を戦争にみちびく有事関連法案の成立を阻止するため総力をあげよう

全日本民医連は、有事関連法案の衆院強行に対し抗議声明を送付するとともに次のアピールを発表しました。

日本を戦争にみちびく有事関連法案の成立を阻止するため総力をあげよう

2003年5月15日 全日本民主医療機関連合会 会長 肥田泰
 昨年の通常国会と臨時国会で多くの問題点が指摘され、国民の反対で成立が阻止された有事関連法案の今国会での成立強行へむけて、小泉内閣は、民主党など 野党の一部も取り込んで、衆議院での採決を強行しました。
 この有事関連法案は、憲法の平和と民主主義の原則を破壊し、イラク攻撃にみられるようアメリカの無法な戦争に国民を強制的に総動員する、まさに憲法違反の戦争法です。
 
 この法案の危険な中身は、第一に日本が海外で武力攻撃を行うことを公然と認めていることです。「わが国への武力攻撃に対処」では、政府は「わが国」の範 囲について、日本の領土だけでなく、インド洋などに海外派遣の自衛隊の艦船や在外公館を含むとしており、これらの艦船や施設が攻撃されれば武力行使すると しています。まさに海外での自衛隊の武力行使に公然と道を開くものです。
 第二には、アメリカの先制攻撃にも日本が参戦することになることです。
 国会でも四月二四日の衆院有事法制特別委員会で、「アメリカの先制攻撃戦略が日本周辺で実行された場合、有事法制は発動されるのか」という質問に対し、 防衛庁長官は有事法案が発動することを事実上認めています。
 第三には、このような戦争に国民を強制的に総動員することです。
 地方自治体、電力・ガス会社、通信・放送関連など指定公共機関、医療・運輸・交通・土木・建築などの民間企業をはじめ、多くの国民が強制的に協力させら れ、拒否すれば刑罰が科せられます。言論をはじめ国民の基本的人権が大きく制限されます。
 
 連立与党と民主党は法案の部分修正に合意し、一四日の衆院特別委員会に続いて一五日には衆院本会議で有事法案の採決を強行しました。しかし、民主党自身 が認めたように、有事法案の持つ危険性は、修正によっても何ら変わっていません。民主党は法案の修正で「基本的人権の尊重」の文言が入ったとしています が、基本的人権が踏みにじられ、国民を戦争に協力させる有事法案の危険な本質は何ら変わっていません。
 しかも、衆議院特別委員会での「修正案」を十分な審議もせずに成立を強行したことは、民主的手続きも無視した許せないものです。
 
 この法案の成立を許せば、日本国民が幾百万の犠牲の上に築き上げてきた憲法の平和と民主主義の原則が踏みにじられ、日本は戦争しない国からアメリカと いっしょに戦争をする国になってしまいます。まさに私たちが、罪なき人びとを殺す側に立ってしまうという重大な事態が目の前に迫っています。
 
 私たち全日本民医連は、いのちと健康を破壊する最大の行為である戦争政策に反対します。私たちは、平和を願うすべての人びとと力を合わせ、この有事関連 法案を廃案にするために全力をあげる決意をあらためて表明します。
 有事法案の衆議院通過は強行されましたが、参議院での廃案へ向けた国民的なたたかいに共同して、国会でのたたかいと結んで全国各地域での有事法案反対の 運動を大きくすすめるものです。そして当面、全事業所で全職員が、共同組織の方がたをはじめ地域のみなさんと共同を広げて、以下の行動に立ち上がることを 呼びかけます。

  1. ただちに学習パンフ「STOP! 有事法制」や各種リーフなどをテキストに、職場や共同組織の班会、地域で有 事関連法案の学習をしましょう。従軍看護婦さんの体験談を聞く会やイラク戦争反対などでの創意あふれる学習の場を広げましょう。そして法案の危険な内容を 多くの人に知らせていきましょう。
  2. 「有事法案は廃案に!」の音が町のすみずみまで届き、宣伝物が多くの人の目に入るように、ハンドマイク宣伝やチラシ・のぼり旗・ポスターを使った宣伝を急いですすめましょう。「有事関連法案の廃案を求める」署名のとりくみをいっそう強めていきましょう。
  3. 有事関連法案の成立をめざす小泉首相、自民党、公明党、保守新党へ「有事関連法案の成立反対」の抗議の意志・声を、ファックス、メール、ハガキなどあらゆる手段を使って送りましょう。法案の修正・成立に応じた民主党に対しても、国民の怒りの声を伝えていきましょう。
  4. 国会でのたたかいに結んで国会議員要請などの国会行動に全国から取り組みを強めましょう。また、各地での集会・学習会などのとりくみに積極的に参加していきましょう。

(民医連新聞 第1309号 2003年6月2日)