安心・安全の医療をもとめて(6) “患者さんといっしょに注射事故防ごう”
-北海道勤医協中央病院-
北海道・勤医協中央病院でとりくんだ「注射安全施行宣言」を詳報します。これは、全日本民医連医療安全集会で指定報告されたものです。(編集部)
「注射に関する意識」 看護師に調査
勤医協中央病院の昨年度のインシデント・アクシデント報告は1750件。うち看護師の報告が1260件、「注射」に関する報告が270件と一番多くありました。内容の大半が業務マニュアル通り確実に実施すれば防げるものでした。
医療安全委員会では、厚生科学研究技術評価総合研究事業の川村治子氏のまとめを参考に注射の安全対策にとりくむことに。注射業務の実態を知るために、「注射に関する意識調査」を(パート職員も含む)看護師330人を対象に実施しました。
注射業務をする場合、同院では6R(Right)の確認が原則です。
しかし調査結果では、「必ず患者の名前を必ずフルネームで言っていただく」のは七割。「時どきしない」「全くしない」が合計で三割も。また、注射の「目的」「方法」「予定時間」をいつも患者に説明している人は五割前後でした。
「読みづらい字」「予想指示の書きもれ」「施行方法記載なし」など、不明瞭な指示記載や七割以上の人が経験「口頭指示」を受けている状況もありました。注射に関するヒヤリハットは、ほとんどの看護師が経験していました。
入院患者も注射・点滴の確認のぞむ
次に入院中の意思疎通が可能な患者さんに、注射・点滴を受ける際の気持ち「不安をどのくらい感じている か」や「医師、看護師の確認をどう見ているか」をアンケート。医師、看護師が配布するのではなく、事務、技術系職員に調査票の配布を依頼し、患者さんが気 軽に書けるようにしました。九病棟から194人が回答。
結果は「注射や点滴で不安がある」26.8%、「注射や点滴の事故を防ぐため、そ
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の場でいっしょに看護師と確認したい」82.5%。また、看護師の調査でも「注射事故防止に患者の参加が必要」と七割が答えました。
以上の調査結果をもとに友の会役員会とも協議し、認識を一致させ、患者参加型の「注射安全施行宣言」(図1)を作成し、各職場に提起。昨年九月、全セクションで開始しました。
宣言は患者さん向けの掲示板に「注射事故防止の協力お願い」(図2)の呼びかけといっしょに貼りだし、協力をお願いしています。
患者さんへのよびかけ
1.看護師が、患者様の「お名前」をお聞きしますので、「名字と名前」を、お答えください。(名前間違いの防止です) 2.点滴ビンや、注射器に書かれた患者さまのお名前を、看護師と一緒に確認してください。(薬の間違い防止です) 3.採血(血の検査)の時の検査容器についている患者さまのお名前を、看護師が読み上げますので、確認して下さい。(検査間違いの防止です) 4.輸血の方は血液型の確認をお願いします。(血液型間違いの防止です) |
(民医連新聞 第1305号 2003年4月5日)