“冷たい国保行政”明かに
奈良県・大和郡山市 県社保京が調査
奈良県社会保障推進協議会は大和郡山市で国保の現地調査を実施しました。
奈良県の中で資格書発行が最多なのは大和郡山市。県全体で320件、うち同市が301件を占めます。
これを重視し、奈良県社会保障推進協議会は大和郡山市の諸団体と協力し、「国保調査団」を結成、昨年11月29日に実態調査を実施しました。
内容は、市当局、国保運営委員会との交渉・懇談、相談者からの聞き取り、集団減免申請書提出、医療機関・医師会長・歯科医師会長との懇談会、各自治体で の経験交流会などです。事前に行った「国保一一〇番」には11件の相談があり、そのうち4人が「調査」に参加し、集団減免申請書を提出しました。
調査によって次のことが明らかになりました。
(1)市民の生活の深刻さ。失業、倒産・廃業、会社が社会保険に加入していない、パートやフリーターなど不正規な雇用のなかで、国保料(税)が過重な負 担となっていて、「払わないのでなく払えない」状況です。(2)一律で機械的な資格書・短期保険証の発行、保険証を渡さないなど、冷たい市政。「減免申請 用紙はない」といって申請者を拒み、強く抗議してやっとカウンターの下から出すありさま。「納付税催告」「財産調査実施通知」「差押処分実質通知」など脅 しのような通知を出し、「市役所に行って相談するのは恐い」との声があがっています。(3)未交付や未加入者が多くいることも判明。(4)資格書発行世帯 は「受診できない」実態。県の02年6月診療分の調査では、受診率が全国保加入世帯平均の15分の1以下でした。
「調査団」は「この調査で、国保をめぐる人権侵害とも言える実態が明らかになった」と報告。その背景には「構造改革」のもとで、国保が社会保障の精神を すてた「自助と収奪のシステム」に変質させられていること、国保財政が限界まできていることを挙げています。そして国保に対する国庫負担を1984年以前 の45%に早急に戻すことを国に要請し、国保改善のさまざまな運動にとりくもうと呼びかけました。 (櫂谷喜代志・奈良県連事務局)
(民医連新聞 第1298号 2003年1月21日)