<連載>医療・経営構造の転換(4)地域での役割自らつかんで/予防を重点に「生涯管理」めざす/ 西山貞子(兵庫・きたすま歯科)
神戸医療生協には、協同、きたすま、いたやどの3つの歯科診療所があります。開設以来、「生涯管理」をめざし、予防に重点をおいてきました。その 中では、患者さんに「お口の健康を保つには何が大事か」を気づいてもらうことが大切で、母親教室、歯槽膿漏教室(現在は歯周病教室)を開催し、患者さんに は初診時に案内をしていました。
しかし、歯科開設当時は、近隣で教室を開催している開業医も少なく、受講者も多かったのですが、最近は、マスコミなどでいろいろな情報が氾濫し、初診患 者の減とあわせて、受講者が減少していました。歯科医療活動で生涯管理をめざすには、教室開催だけでなく、日常診療のなかに予防活動のシステムをつくる必 要がある、と定期検診による管理を位置づけました。
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神戸医療生協の歯科では、一般については「P管理(プラークコントロール)の会」、小児には「カンガルー会」に入会してもらい、管理カードを作成して定期検診の管理を行っています。
管理カードによる現在の管理数は3歯科合計で、P管理の会が約2200人、カンガルー会は、約2900人となっています。
各院所の歯科衛生士は、週に2~3の検診枠を担当しています。検診内容は、前回受診時以降の生活や口腔内の変化について問診し、カリエス、歯周病チェッ ク、染め出し、ブラッシング指導、歯石除去や(機械的)歯面清掃、その他小児には、う蝕原因菌検査、フッ素塗布を行います。そして最後に、次回検診月をお 知らせし、患者さん自身にはがきの宛名を記入してもらいます。それは、宛先記入の間違いをなくすとともに、次回検診を意識してもらうためです。
管理カードとはがきはいっしょにして保存し、各患者さんの検診月に、来院日の予約をとり、はがきを出します。こうした管理は歯科衛生士が行っており、検診の来院数を日報・月報に記録しています。
管理カードでなく、はがきのみで管理している患者さんもいます。カンガルー会を卒業した中高生で、夏、冬などの長期休暇を利用して年2~3回の検診を行 う場合と、一般は歯科医師が年1回の検診でよいと判断した患者さんです。はがきのみの患者さんは、中高生約1000人、一般で約4000人(いずれも3歯 科合計)です。これらも来院の際、「リコールノート」に記入を行い、郵送はがき数とノートの記入を数えて来院率統計をとっています。
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とりくみのなかで、「1、2回の治療で済んで良かった」「歯痛などのきっかけがなければなかなか行かないが、お 知らせがあるのがいい」と歓迎されています。定期検診で虫歯が発見されても、その治療は短期間ですみ、治療費も少なく済みます。患者窓口負担が増える中 で、定期検診のシステムは歓迎されるものだと考えます。
また、入会という形で「お口の健康の生涯管理」を私たちに託す人が増えることで、利用者確保の一端を担っています。充実にむけますます努力したいと思います。
(民医連新聞2002年11月11日/1292号)