「安全標語」づくりは、普段の業務を見直す機会に -熊本・菊陽病院-
【熊本=近藤敬一郎通信員発】今回、当院では職員みんなが日ごろから問題に感じていることを「安全標語」にしようと24の全職場に提起しました。
1人ひとりが「どうしたら事故を防げるか」「こんな時に事故が起きるぞ」「これをしなかったら・・・」と頭をひねり、73もの「安全標語」ができました。それを日めくりカレンダーにすることになり、31句を厳選しました。
きっかけは、4月17日に厚生労働省から出された医療安全対策検討会議の「医療事故を未然に防止するための指針」の提案文書。標語が載っているのをヒントに「安全標語」をつくろうと話し合いました。
日常業務がリスクマネージメントそのものといってよい職場の薬局では、「過誤防止標語」を以前からつくっていましたが、全体でつくろうと提起したのは今 回が初めてです。4月30日の当院の医療事故防止委員会に提案、5月の管理会議で決定しました。
「安全標語」をつくるにあたり、職場ごとに様ざま苦労がありました。普段、患者さんと接する機会の多い看護職や介護職、薬局では、すんなりできましたが、あまり患者さんと接することがない事務職などはつくるのにかなり苦労しました。
「安全標語」づくりは、普段の私たちの業務を見つめ直す機会となり、よい意識づけになりました。自分では、あたりまえと思ってやっていたことが実は違っていたり、他人のミスに気づいたりすることができました。
また、ニアミス報告書も当初は10から20しか出なかったものが、9月は40件、10月で50件と職員の中でも報告書を出さなければいけないこと、それが安全性につながることを理解し考えるようになりました。
日めくりカレンダーは、各職場でも活用が始まりました。毎日の朝礼で、最初に一人が読んで全員で復唱しています。
今回のとりくみは、職員が医療の安全性についての意識を身につけるよい機会になりました。
*「日めくりカレンダー」他にはこんな標語が*
・伝えよう 小さな不安 大きな安心
・声を出し 自分と相手に確認を
・思いこみ厳禁
・慌てず もらさず ゆっくりと
・小さなミスを見逃さず 皆で点検怠らず
・四方八方 気配り上手
・新鮮な目と心構えで ミス防止
・たかが連絡、されど連絡
~丁寧に、適切に~
・報告書 数は重ねて事故を減らす
・今日のミス 明日のミスにしないこと
・常に持とう 心のゆとりと 安全確認
・伝言は すばやく 正しく 確実に
・医療事故 心のゆとりが 再発防止
(民医連新聞2002年11月11日/1292号)
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