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民医連新聞

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仲間増やし、共同組織つよめ /医療改悪はね返す力に 各地で共同のとりくみ

 秋 のたたかいと結合した2002年「共同組織強化発展月間」が本番をむかえています。国民に痛みがしわ寄せされるいま、仲間増やしは反撃の力。各地で共同組 織と職員との共同行動が広がっています。9月から準備し10・1には「セーノデー」や「強化デー」でスタートを切ったところも多数あります。鹿児島、京都 からとりくみの通信が寄せられています。
 友の会を「お互いに顔が見えて、名実ともに役に立つ組織にしよう」と量と質の組織強化をめざし地域を歩く大阪・加賀屋病院と住之江医療・健康友の会を取材しました。

(汐満忍記者)

“顔が見える友の会”目標に全会員の訪問を開始
大阪・住之江医療・健康友の会と加賀屋病院
 「訪ねていって良かった」と友の会役員の三国良雄さんは深刻な顔で話しました。「肺気腫で寝たきりだった方がいました。在宅酸素の医療費が八倍になった ので、病院はもういいと言うのです。身体障害の手続きも拒んでいて、生きる気力がないのかなと心配しました。いま家族とも相談してますけれど……」。
 住之江医療・健康友の会が、会員を総訪問するなかで、加賀屋地域で暮らす人一人ひとりの様子が見えてきました。「夫が失業中。健診はずっと受けてへん」 「母親の世話で仕事にいけない。困っている」「弟が失明して施設に入所したが、とてもお金がかかる」などの声を聞きました。共倒れしそうな老姉妹、ひとり 暮らしの痴呆老人にも会いました。
 一方で「友の会新聞にボランティア募集記事がありましたね。私がお役に立つなら協力します」「ヘルパー二級の資格を持っています。仕事はないけれど」と申し出てくれる人もいました。
 訪問の中で「顔が見え、身近で役に立つ組織になるという友の会の方向が具体的に見えてきた」と役員さんたちは実感しています。

軸足を地域に…
名称も変更

 住之江医療・健康友の会は「加賀屋病院健康友の会」の名称を3年前に変更。
 友の会事務局長の小谷辰世志さんは「『安心して暮らせるまちづくりの主体へ』の発展を期したためです。病院の活動に協力するだけでなく、友の会役員が自 分の住んでいる地域でまちづくりをすすめよう、そこで各地域に友の会の運営を担う『支部』をつくろうと話し合ったのです」。
 加賀屋病院(療養型38床)は、漢方など東洋医学にとりくんできた歴史があり、近畿一円から患者さんが来院します。それを反映して、友の会4500世帯 のうち、住之江区内には2400世帯、区外に2100世帯が。会員は班会に来たり、毎月発行の『友の会新聞』でつながっています。
 組織委員会での議論で、「友の会新聞を配達していても、たまのあいさつくらい。会員さんの顔が見えないのが壁のように感じる」との意見がでました。そして「友の会を、何でも話せて役に立つ組織にしたい」が委員の共通の思いに。

会員総訪問で生の声聞こう
 なぜ会員総訪問することになったのか。
 友の会会長の山地繁雄さんは「一人暮らしのお年寄りの訪問という話から出発しました。会員さんの悩みや声も聞こうと会員総訪問に。仲間を増やして友の会 を大きくするには、もっとつながりが強くて頼りがいのある友の会に、質も強めないとあかん」と話します。「それで職員にもいっしょに地域に出てもらうこと にしました」。
 9月には、各支部準備会ごとに職員も交え総訪問の段取りを話し合いました。八月から会員宅の地図落とし、地域で作戦を練るなど「支部」としての活動がはじまりました。
 9月20日から総訪問を開始。10月1日は総訪問行動交流会でした。
 小谷さんは「友の会も変化しています。会員増やしも今までは患者さん中心でしたが、地域のつながりで増えています。会員が増やす数がふえてきました。月間にも総訪問の経験を生かしたい」と話します。
 訪問活動には、40人あまりの職員全員が参加。307軒を訪問しました。自分たちの現状から出発し、念願の支部つくりにとりくむ姿が新鮮でした。

10・1初日目標達成し“はじまり集会”
鹿児島・川辺生協病院
 【鹿児島=森園京子通信員発】川辺生協病院では10月1日、盛大に「生協強化月間はじまり集会」を行いました。36世帯が新規加入、職場・支部ともに、まずはこの日の目標を達成したことを確認しました。
 当日は朝から組合員さんと職員で「がんばろう」の気持ちを込めて、つくった「元気でるゾー弁当」で会食。おなかが満ちたあと、それぞれが成果と決意表明を発表しました。
 1日からの医療改悪で「看護師さんに来て欲しいけど、利用料が払えないので」と訪問看護の利用回数や時間を減らす患者さんが……。開所して2年10カ月 目にやっと単月黒字になった訪問看護ステーションにじにも、影響が大きく出ています。介護保険利用に変更したり、身体障害者の認定をすすめ医療費助成を受 けられるようにするなど、努力をしていますが大変です。こうした状況を「仲間増やしと運動をひろげてはね返そう」との決意が口ぐちに述べられました。
 当院の月間スローガンは「地域の医療要求を組合員・職員がひとつになって実現しよう」です。10月9日には、病院近くのスーパー前2カ所で「医療・社会 保障の充実を求める」署名活動を行いました。「困ってます」と高齢者が、「ほんとに弱い者いじめですよね」と若い女性が署名に応じてくれ、1時間のうちに 203筆集まりました。

***

 鹿児島医療生協は10月1日を「強化デー」として、9月はじめからニュースも発行しながら準備。1日当日は目標を100上回る、623世帯の仲間増やしを達成しました。全支部・全院所で目標超過です。この日の成果と教訓を月間本番に生かそうと意思統一しています。

事前に1743通の 加入案内を郵送
京都・綾部協立病院
 【京都発】「こんなに簡単に加入してもらえるなんて初めて」。雨の中、患者さん宅を訪問した後野節子 看護師長と坂根悦子栄養士が7枚の加入申込書を手に戻ってきました。近所を回ってきた友の会運営委員の斉藤健司さんは5人に加入してもらいました。電話か けで「今日、加入申込書を投函したよ」とうれしい返事をもらった職員、家族から預かってきた申込書を持ってくる職員も集まってきました。月間がスタートし た10月1日、91人の会員を増やしました。
 10日までに302人が加入、月間目標550人の5割を超えました。
 訪問活動に入る前の九月、「友の会」の案内パンフ、病院だより、加入申込書、返信用封筒、建設予定の新病院の名称応募はがきなどを、患者さん1743人 に郵送しました。翌週から訪問・電話かけを開始し、これまでに741人と対話ができたところです。
 当院では、8月末から月間方針をつくり、9月中旬に推進本部を設けました。職員会議では、昨年同様今年も「最初の1週間で目標の半分をやりきろう」と意思統一。管理部が節目ごとの目標に責任を持とうと決めました。
 対話の特徴は、新病院に期待が集まっていること。「友の会に入って建設を応援して」と率直にお願いすると快く加入してもらえます。「最後はお世話になる ので」など、友の会と病院が地域で頼りにされていることも感じます。「たいへんな時だからこそ目標を達成し、仲間に励ましを」と職員ががんばっていること も力です。月間目標の早期達成をめざします。

(田中秀行、綾部協立病院・事務長)

(民医連新聞2002年10月21日/1290号)