新しい診療所の姿示す/北海道・月寒医院、丸山秀則(事務長)
連載1 私たちの医療・福祉宣言
新しい診療所の姿示す
北海道・月寒医院、丸山秀則(事務長)
全日本民医連は35回総会で「来年2月までに、すべての事業所で医療福祉宣言をつくろう」と呼びかけました。各事業所で「宣言」を完成させています。今回は、月寒医院の「医療福祉」宣言づくりのレポートです。
当院の医療福祉宣言は、今年の医療活動方針になっているのが特徴です。外来待合室にはられている宣言を読めば、患者さんにも院所の今年のとりくみが分かる仕組みです。
タイトルは「月寒医院医療福祉宣言2002」。毎年見直しをしていくので2002年版なのです。数年かけて宣言を充実させようと、比較的気軽に宣言をまとめました。
それでも、職員会議や院所利用委員会・友の会の役員会などを経るのに3カ月かかりました。宣言を発表することに疑問が出たり、この程度で「宣言」としていいのだろうかと躊躇(ちゅうちょ)したりしました。
こうしたことはどこの院所でも同じなのでしょうが、あれこれ迷わずに、分かりやすい宣言をつくろうとしたことで、比較的早く実現できました。
宣言を急いでつくり発表した理由があります。この4月から入院施設を廃止し、無床診療所として新たなスタートを始めたのです。
ところが、患者さんのなかには、無床化を「衰退」ととらえた人もいて、「地域から月寒医院の灯が消えるようでさびしい」と、月寒医院の行く末を心配する声を聞くようになりました。
職員の側は、訪問診療・訪問看護の拡充、通所リハビリの規模拡大、訪問介護への新たな挑戦など、入院の廃止を機に、在宅分野の事業拡大で院所の発展方向を見いだしており、経営も大きく改善して元気よくやっています。
そのことを患者さんに伝えていく必要に迫られていたこともあり、「宣言」はタイムリーなとりくみになりました。
勤医協月寒医院の医療・福祉宣言2002
月寒医院は、戦後、医療に恵まれなかった地域の人びとが、自分たちの健康は自分たちの手で守ろうと資金を集め、その力で1949年12月設立されました。 |
1.外来医療・在宅医療・介護サービスを総合的に提供できる月寒医院をめざします。 ・通所リハビリ(デイケア)は2階を改装し20人規模に拡大します ・「勤医協月寒ケアセンター」を開設し、訪問看護とホームヘルプサービスの充実をはかります ・定期訪問診察を積極的に行います 2・家庭医として気軽に利用いただける医院をめざします ・親身でわかりやすく、患者の立場に立った納得のいく説明で信頼を確立します ・病状や希望に応じて勤医協内外の医療機関や施設を紹介します ・友の会員が参加した「院所利用委員会」の活動を活発に行い、患者さんがかかりやすい医院をめざします ・診療録(カルテ)は患者さんと職員の共有のものです。患者さんはいつでもカルテを見ることができます ・「健康手帳」を患者さんの療養や健康づくりに役立つように活用します 3.安心して住み続けられるまちづくりに貢献します ・誰もが医療を受けられるように「無料・低額診療」の相談に応じます ・地域の助け合い活動に参加します ・医療改悪に反対し、医療・福祉を良くする運動を積極的に行います ・月寒医院は戦争に協力しない診療所です。「有事法制」に反対します ・「つきさっぷ健康まつり」「平和盆おどり」を成功させます ・2003年は一斉地方選挙の年です。私たちの要求が実現する市政になるよう活動します 4.多くの方に「友の会」への入会を訴えます ・友の会員は、自ら健康を守る健康診断を全ての方が受けましょう ・気軽に「健康相談会」を多く開催します ・勤医協の経営を支える「協同基金」にご協力をお願いします ・友の会のサークル活動に積極的に参加していきましょう ・ボランティアとして月寒医院の介護事業活動にご参加ください |
(民医連新聞2002年09月21日/1287号)