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民医連新聞

民医連新聞

副作用モニター情報(186)

重症型薬疹(スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症)

 「医薬品・医療用具等安全性情報No・177」(2002年5月)で、医薬品による致死的な重症型薬疹である スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)と中毒性表皮壊死症(TEN/ライエル症候群)が報告されました。これらの重症型薬疹は発症すれば二割以上が 死に至るきわめて重篤な副作用です。また救命できたとしても角膜、視神経障害による失明、呼吸器、消化器の臓器障害など重篤な後遺症を残す事例も多くあり ます。SJSやTENは、発生頻度は低いとはいえ、患者を問わず、また原因医薬品が一般用、医療用を問わず起こりえます。
 副作用を回避し、重症化させないためには、患者自身が早く初期症状に気づき、医療機関に連絡・受診するよう、服薬指導の際に知らせておくことが重要です。
 また医療機関では、薬の副作用として相談に来たり、受診した患者さんについて、?高熱がある、?眼や唇が荒れる、または眼、のどが痛い、?発疹などの皮 膚症状、に注意すべきです。これらの症状が見られたら重症化する可能性があり、すぐに服用薬の中止と皮膚科専門医への紹介が必要です。
 しかし発症初期は軽症で、SJSやTENに進行するかどうかの判断は、専門医でも困難なケースがあります。病理組織検査で、紅斑部分と正常に見える組織 にも、表皮細胞の死滅と表皮内キラーT細胞の浸潤が認められるときは重症型と判断されます。皮膚生検による診断が重要です。
 いかに早く重症型薬疹の診断ができ、治療が開始できるかが、患者を救命し後遺症を回避する鍵になっています。
 4月より一部の医薬品を除き、処方日数に規制がなくなり長期投薬が増加してきています。このことが副作用発見の遅れや重症化につながらないよう、臨床現場で医療スタッフが慎重に対応することが特に重要です。

(民医連新聞2002年09月11日/1286号)