いのちと人権まもれ たたかう列島
10月改悪で「患者さんへの実害減らす」とりくみ
国会で強行採決された医療改悪に対し、全日本民医連は、地域の実情をつかみ、政府に「改悪撤回」を求め、自治体には改悪による実害を軽減する施策を求めて働きかけを強めよう、と呼びかけています。評議員会での発言も含め、三カ所のとりくみを紹介します。
当てはめ作業もとに中断防止・自治体要求
【京都発】県連では10月の改悪実施にむけ、怒りの世論をひろげる「改悪撤回」の運動と、患者の実害を少しでも軽減するための準備をすすめています。
「撤回」運動では、地域社保協を中心に宣伝、「一一〇番」などの相談行動を、10月1日には一斉大宣伝行動と青空相談会、抗議昼休みデモなどを計画。
いま各院所に「私の負担はいくらになるの」という問い合わせがきています。このままでは「一割負担」の不安が先行して受診中断するケースも予想されます。
県連では、職員と共同組織が全ての高齢者患者を訪問することを提起。これまでの運動の経過も知らせ、1人ひとりの負担額を説明、個別に相談にのり、治療中断を防ぐ対話をすすめます。
全院所で一〇月以降の負担増のあてはめ作業を行ったところ、医科の10診療所から集まった2378件中、負担増の患者さんは1548件(65.1%)。 うち897件(38%)が1000円以上の増です。4000円超は117件(5%)、1万円以上増える在宅患者さんもいます。
自治体に対しては、高齢者医療の償還払い制度が「実質骨抜き」になるような制度改善をさせることが当面の課題。地方議員団との懇談を皮切りに、自治体労働組合や保険医協会、社保協とワーキングチームをつくりました。
現行制度の具体的な改善要求をまとめ、秋の各自治体議会に、条例策定や条例改正の具体的な請願を提出する府民運動を準備しています。
受領委任払い求め患者・開業医に呼びかけ
【埼玉発】県連では昨年からの大運動を、医療生協・民医連・労組の三者で「いのちを守る共同行動推進委員会」をつくり、全17の院所・地区でとりくみま した。8月28日の推進委員会では、この夏までのたたかいを総括し、ひきつづき三者の体制で秋からのたたかいに臨むことを意思統一しました。
9月19日に小池晃参議院議員(全日本民医連理事)を講師に招き大学習会を行い、具体的な行動提起もする予定です。
かすかべ生協診療所では、7月分のレセプト提出直後、10月の改悪で窓口の支払いが10倍以上になる在宅酸素の患者さんについて「受領委任払いなどの制 度で10月からの窓口負担を何とかしてほしい」と市の福祉課に事務長が駆け込み交渉。しかし、対応した福祉課長は「受領委任払いは市の制度だが、老人保険 は国の制度で管轄外だ」と突っぱねました。
かすかべ生協診療所では市内の医療生協の3支部と相談し、今度は紹介議員もたて、市内の開業医にも働きかけ、患者・家族も同行し要請を行うことを検討中です。
特別体制とって公費助成を最大活用
【大阪発】同仁会では、「どんなに改悪がすすもうとも、地域の人びとの命とくらしを守るという原点に立ち返り、あらゆる手だてをとる」と意思統一。
とくにハネあがる在宅患者の負担は「介護保険の利用料負担が一万円で頭打ち」(堺市調査)という情況から見ても、これ以上の負担増に耐えられないと容易に予測できます。
「二級以上の障害、もしくは特定疾患との合併があれば、医療費負担は公費で負う」という大阪府の助成制度を最大限活用することもその一つ。特別体制をと り、同法人内の自己負担のある在宅患者(約150人)のうち70余人が対象となることを調べました。申請書類作成に必要な検査・計測をはじめています。
(民医連新聞2002年09月01日/1285号)