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民医連新聞

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地域要求に基づいた「転換」を/“医療・経営構造の転換”初のテーマで診療所 全国検討会

“医療・経営構造の転換”初のテーマで
診療所 全国検討会

地域要求に基づいた「転換」を

 6月24日、医療改悪法案は参院本会議で審議入り。七月はじめからたたかいの山場を迎えます。
 全日本民医連は6月15~16日、診療所関係者を対象に、医療・経営構造転換全国検討会を熱海で開催しました。このテーマでの交流集会は初のとりくみ。全日本民医連含む37県連、185人が参加しました。

 主催者は「今回の行動の目的は東京大気汚染公害裁判の勝利を確かなものにすること。四半世紀をこえるたたか いを続けてきたことを力に、今後とも公害根絶に向けてともに奮闘しよう」とあいさつ。つづいて基調報告では、「戦争こそ最大の環境破壊。政府は有事法制関 連三法を国会に提出したが、憲法違反性は明確。私たち公害被害者もいま一度、『公害の根絶と平和を求めて』の課題を再確認し、有事法制反対の運動に参加し よう」と呼びかけ、「いまたたかっている東京大気汚染裁判では、自動車メーカーにどのような責任をとらせるかが、今後の法制度にも関わるために注目され る。金もうけ優先の政治がはびこる中で、公害は広がってきた。内閣支持率も下がり、国政転換の危機が迫っているいまこそ、たたかいを強めよう」と報告され ました。
 集会には、東京民医連の薬剤師でつくる「若芽の会」のメンバーも参加。最後にアピールを採択しました。

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 この全国検討会は、?医療福祉供給体制の激変の情勢認識の一致、?民医連各法人・院所の転換の到達点の現状認識と交流、?2003年8月に向けた、たたかいと対応と具体的議論、を行うという3点を目的に行われたもの。
 1日目は5カ所からの実践報告と、大道久 日大医学部教授の記念講演「診療所の動向とかかりつけ医機能」がありました。
 翌日は8つの分散会「病床の存続について、医療体制は厳しいが、町からは残してほしいとの要請。悩んでいる」、「地域ネットワークや介護分野への展開、 共同組織といっしょにとりくみ経営改善」など介護・福祉分野への展開をすすめている経験や、4・1改定の影響と具体的対応について、とりくみや悩みを活発 に交流しました。
 大河原貞人全日本民医連事務局次長が、「地域要求に基づいた『転換』の課題は時代の要請であり、管理者を先頭に早急に着手しよう」とよびかけ、閉会しました。

 

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 指定報告として、5人が転換のとりくみについて報告しました。そのうち「介護福祉分野への展開」については、三院所が報告しました。現在、ほとんどの診療所が何らかの形で介護事業に着手しています(左資料)。
 福岡・中友診療所の北園俊光事務長は、診療所の2階スペース(元50床の病院部分)に、昨年11月、痴呆高齢者グループホーム(定員9人)を開設した経験を紹介。
 診療所併設グループホームは介護収益と医療収益の両方を確保でき、スタッフも兼務体制で効率的な運営が可能なことから、予想以上の経常利益を確保してい ます。見守りが必要な独居の痴呆老人や、行き場のない長期入院患者の受け入れ施設として、地域からも歓迎されています。

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 奈良・とみお診療所の菊池高波事務長は、昨年春に訪問看護ステーション、ヘル パーステーション、在宅介護支援センターを擁した在宅総合ステーションとの複合型診療所として新築移転した経験を報告。職場の管理・運営はブロックとして 行い、2001年度の介護収益はブロック全体収益の30%を超えました。
 診療所も患者、収益とも大きく増やすことができました。「禁煙支援外来」「心のケア外来」「健康づくり外来」など地域のニーズにこたえる外来を展開し、喜ばれています。

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 石川・城北クリニックの高宮幸子事務長は、「在宅生活をフルに支援する」という コンセプトで、患者の願いに応えること、依頼は断らないことなどを決め、医療・介護活動をすすめてきた経過を報告。アンケート調査で地域の要望を把握、職 場教育と職員の団結、共同組織の参加による運営などを土台に、訪看ステーションやヘルパーステーション、居宅介護支援事業などを展開し、97年の開設時 16人だった職員は現在81人に。介護保険では行き届かない部分を埋めるサービスとして、共同組織とともに有償ボランティア「べんり君事業」もたちあげま した。

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 診療所での「医師養成」のとりくみについては東京・宇都宮協立診療所の岡部功事 務長が報告しました。同診療所では、7人の研修医を受け入れました(近県含む)。患者を生活の場からとらえ、ベテラン医師・看護師らにささえられながら基 本的な診療能力をつけられる研修は、研修医に好評です。また、診療所にとっても、自分たちの診療のあり方を見直し、医師養成に力を発揮している自信が得ら れるなど、意義あるものになっています。
 研修医を受け入れる診療所の条件として、「弱点が多くても、日常活動の中で民医連らしさが研修医に見える」こと、「職員全体で研修医を受け入れる意志統一する」「近県の県連との協力」などをあげました。

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 大阪民医連の黒田孝彦氏は、転換の課題での県連のかかわりを報告。99年の全国診療所会議以降、毎年県連で診療所交流集会を開くなど、診療所の転換や経営改善などのとりくみを、フィードバックする努力を行っていることを紹介しました。

(民医連新聞2002年07月01日/1280号)