国・道路公団・自動車メーカーは/排ガス公害根絶と被害者救済を
7月下旬東京大気汚染公害裁判での勝利判決をめざして
第27回全国公害被害者総行動デー
6月6~7日、東京で「なくせ公害 守ろう地球環境~公害根絶と平和を求めて~」をかかげ、第27回全国 公害被害者総行動デーが行われました。今年の総行動は、3月のヤコブ病訴訟の全面勝利和解、5月末の新横田基地公害訴訟判決の上に、7月下旬の東京での全 面勝利判決をめざしてとりくまれました。
6日は、環境大臣交渉、昼デモ、各省庁・被告交渉を行い、夜には日比谷公会堂で総決起集会(全国公害被害者総行動実行委員会/公害・地球環境問題懇談会/東京公害総行動実行委員会主催)が開催され、約1300人が参加しました。
主催者は「今回の行動の目的は東京大気汚染公害裁判の勝利を確かなものにすること。四半世紀をこえるたたかいを 続けてきたことを力に、今後とも公害根絶に向けてともに奮闘しよう」とあいさつ。つづいて基調報告では、「戦争こそ最大の環境破壊。政府は有事法制関連三 法を国会に提出したが、憲法違反性は明確。私たち公害被害者もいま一度、『公害の根絶と平和を求めて』の課題を再確認し、有事法制反対の運動に参加しよ う」と呼びかけ、「いまたたかっている東京大気汚染裁判では、自動車メーカーにどのような責任をとらせるかが、今後の法制度にも関わるために注目される。 金もうけ優先の政治がはびこる中で、公害は広がってきた。内閣支持率も下がり、国政転換の危機が迫っているいまこそ、たたかいを強めよう」と報告されまし た。
集会には、東京民医連の薬剤師でつくる「若芽の会」のメンバーも参加。最後にアピールを採択しました。
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7日は、大手町、霞ヶ関、国会前、トヨタ、日産、いすゞ前の6カ所での早朝宣伝。その後10時から、国土交通省、日本経団連、自動車工業会、石油連盟との交渉と並行して、トヨタ、日産、いすゞ自動車など東京大気汚染裁判の被告企業との交渉が行われました。
トヨタ自動車との交渉が行われたトヨタビル(東京・文京区)前では、全国各地から集まった公害裁判原告団から、七人が次つぎマイクをにぎり、ぜんそくの苦しさとともに、企業が責任を認め、患者救済を行うよう訴えました。
なお、両日の行動には、民医連職員が原告団に医療班として同行しました。
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自動車排ガスによる公害被害者の救済をはかり、公害道路建設にストップをかける裁判は、西淀川(95年7月)、川崎(98年8月)、尼崎(2001年1月)、名古屋(2001年11月)ですでに勝利判決がでています。
西淀川、川崎での判決は、道路公害の国・公団責任を明確にし、損害賠償を勝ち取りました。さらに尼崎、名古屋の判決は、公害の差し止めの権利を住民の手 に回復しました。こうした中で、自動車排ガスと健康への影響をめぐる司法判断も定着し、道路の設置・管理者である国・道路公団に抜本的な公害対策を突きつ けるにいたっています。
2001年12月に東京地方裁判所で結審した東京大気汚染裁判では、道路の設置・管理者(国・道路公団・東京都)はもとより、自動車メーカーも被告と なっています。自動車排ガス汚染のもう一方の原因を生んでいる自動車メーカーに、どのような責任をとらせ、排ガス公害の根絶に向けてどのような対策をとら せるかが注目されます。また、国、自治体に実態にふさわしいあらたな被害者救済制度の創設も要求しています。
■全国公害被害者総行動
「力を合わせて公害の根絶を」「なくせ公害、守ろう地球環境」を合い言葉に、公害被害者の要求にささえられ、1972年の全国公害弁護団連絡会議結成をうけ、1976年からとりくまれています。
(1)公害被害の救済、(2)公害の根絶、(3)環境再生とまちづくりを三本柱としてかかげ、公害環境問題にとりくむとともに、「戦争こそ最大の環境破 壊」の認識のもとに「公害の根絶と平和を求めて」のスローガンに集約してたたかいがすすめられています。
(民医連新聞2002年06月21日/1279号)